アルピーヌ、LMDhデビュー前の2023年はLMP2で活動へ。2台体制を計画/WEC

 アルピーヌのローラン・ロッシCEOは、2022年シーズンのWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに参戦しているアルピーヌが、来シーズンは2台のLMP2マシンで同シリーズに参戦する方向で調整していることを明らかにした。

 アルピーヌ・エルフ・チームは現在、旧規定のLMP1マシンを用いて、トヨタとグリッケンハウスのLMH(ル・マン・ハイパーカー)とともにWECハイパーカークラスに参戦している。しかし、同クラスは来シーズンからフェラーリのLMHやポルシェのLMDhカーなどの登場が予定されており、アルピーヌが“特別に”トップカテゴリーに居続けることは不可能になると考えられている

 そのためフランスのブランドは、フィリップ・シノーが率いるシグナッテックチームの運営の下で2016年と2018/19年シーズンにドライバーズタイトル、およびチームタイトルを獲得し、さらにル・マン24時間レースで計3度のクラス優勝を果たしたLMP2への復帰を検討している。

 このLMP2プログラムは、アルピーヌA480・ギブソンと呼ばれているオレカ製ノンハイブリッドLMP1マシンを用いた現行プログラムと、2024年初頭のレースデビューが予定されているアルピーヌLMDh(仮称)とのギャップを埋めることになる。

 ロッシは先週末のル・マンで、アルピーヌが来年のWECに2台のLMP2マシンを投入することを検討しているとSportscar365に語ったが、プログラムの詳細についてはまだ明らかにされていない。

 LMP2クラスでは4つのコンストラクターが供給するシャシーから自由にクルマを選ぶことができるが、2017年以降はオレカ07が絶対的な支持を確立している。そのオレカはアルピーヌLMDhの製造パートナーであることを考えれば、ルノー傘下のブランドがふたたびオレカ製のマシンを選択するのは自然なことだろう。

 なお、アルピーヌの計画はシグナテックから技術サポートを受けているリシャール・ミル・レーシングチームのプログラムとは別のものだ。

「我々はおそらく、フィリップ・シノーとシグナテックと(これまでと)同じような取り決めを続けていくことになるだろう」とロッシは語った。

「それについて話すのはまだ少し早いが、話し合っているところだ。同じチームで、おそらく2台のクルマで続ける。そうすれば、ふたつめのチームのドライバーとエンジニアが一緒に働きLMDhが始まる2024年に備えることができる、という考えだ」

「そのアイデアは(スポーツカープログラムの)中断を伴わず、我々の範囲を拡げるものだ」

アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソン 2022年WEC第3戦ル・マン24時間

 LMP2への移行は2024年のハイパーカークラスへの復帰を前に、アルピーヌにとって主にふたつのメリットがある。

 ひとつは、アルピーヌが現在のハイパーカーチームを移行期にも活動させることができること。もうひとつは、WECでのマーケティングの勢いを維持することができることだ。

「私たちは中断を望んでいない」とロッシは説明した。

「(一度止めたものを)2024年に再スタートするために再起動し、競争力を得るには1年ではあまりにも難しいだろう。私たちはチームを団結させ、彼らの緊張を維持したいと考えている」

「別のファン層や顧客と話ができるという点で、耐久レースに参加するのはいいことだ」

「誰もがF1ファンというわけではないし、それを意識しなければならない。

「アルピーヌの歴史は耐久レースやラリーに深く根ざしている。だから、私たちにとって、ここにいることは非常に意味のあることなんだ。LMP1やLMDhでない場合はLMP2を使う」

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