神奈川の還付金詐欺、過去最悪 5月の認知件数と被害額

神奈川県警本部

 神奈川県警が5月に認知した特殊詐欺の統計(暫定値)で、医療費や保険料の還付が受けられるなどとうその電話でATMを操作させて現金を詐取する「還付金詐欺」の認知件数(64件)と被害額(約8400万円)が、ともに過去最悪を記録したことが15日、分かった。認知件数は前月比31件増と倍増し、被害額は同約3100万円増。手口別では全件数の半数を占めた。

 県警が5月に認知した還付金詐欺では、同10~17日、川崎市宮前区でいずれも60代女性が現金計約48万~99万円を詐取される事件が3件連続で発生した。

 いずれも事前に区職員を装った男から「医療費の払い戻しの申請書類を送ったが、手続きが済んでいない」などと電話があった。その後、金融機関職員を名乗る別の男に「ATMにキャッシュカードを入れて」などと言われ、指示通りにATMを操作して現金をだまし取られたという。

 うその電話をかける「かけ子」が言葉巧みに被害者を誘導して現金を振り込ませる手口で、被害者と対面する「受け子」がいないのが特徴の一つ。県警幹部は「現場検挙が伸びている中で、受け子を要しない還付金詐欺に再びシフトした可能性もある」とみる。

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