初代王者“あまりん”全国いちご選手権でインパクト絶大 出品した農園の夫婦、命の危険も乗り越え大舞台へ

あまりんをふんだんに使用したクリスマスケーキ

 洋菓子メーカー「コロンバン」(東京都中央区、小沢俊文社長)が主催する「お客様が選ぶ!!第1回全国いちご選手権」で、秩父市下吉田の「ただかね農園」が栽培した県オリジナル品種「あまりん」が1位に選ばれ、10日に東京都内で表彰式が開かれた。受賞スピーチで同園主の高野宏昭さんは、2014年の豪雪被害で廃業を考えたが、妻奈美子さんに支えられて立て直し、この晴れ舞台を迎えられたことに感謝の言葉を述べた。

 全国いちご選手権は2月にコロンバンが開いたフルーツワッフル専門店での特別企画。全国25種のイチゴから味、色つや、大きさなどの観点で8種を厳選してワッフルに仕立て、購入した客のアンケートで順位を決定した。ただかね農園のあまりんは、まりひめ(和歌山)、さくらももいちご(徳島)などを抑えて見事に全国1位に輝いた。

 賞状とトロフィーを受け取った高野さんは、「普段から泥にまみれている農家は裏方に近い仕事。このようなスポットライトを当てていただいてうれしい」と感激した様子。その上で14年2月の豪雪被害のエピソードを語った。

 県内では秩父など県北地域を中心に1メートル超の大雪が降り、同園ではいちごのビニールハウスが9割つぶれたという。高野さんは「イチゴの生産を諦めようか、やめようかというところまで追い詰められた」と明かす。それでも「命の危険も感じる中、妻がつぶれたハウスの中からイチゴを取ってきてくれた。何が何でも家族のためにイチゴを売っていくんだと私を励まし叱咤(しった)してくれた」と感謝。「18年間一緒にやってくれてありがとう。今日この場に立てたのは妻のおかげ」と述べると、出席者から大きな拍手が送られた。

 表彰式でコロンバンの萬場稔専務は、「弊社の伝統のワッフルとあまりんの絶大な甘さのインパクトがお客さまの心をつかみ、笑顔と感動を与えることができた」と称賛。同園独自のワイン堆肥を使ったサステナブル農法も評価された。

 同社は表彰式に合わせて、今年の新作クリスマスケーキ3種を発表。いずれもあまりんをふんだんに使用しており、今秋から注文を受け付ける予定。

1位に輝いたただかね農園の高野宏昭さん(中央)と妻奈美子さん。右はコロンバンの萬場稔専務=10日午前、東京都港区の明治記念館

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