佐藤万璃音、FIA-F2アゼルバイジャンはレース1の不運越えレース2で得点「ホッとしています」

 6月10〜12日、アゼルバイジャンのバクー市街地で開催されたFIA-F2第6ラウンドで、佐藤万璃音(ビルトゥジ・レーシング)は、レース1ではポイントをうかがいながらも不運なアクシデントに巻き込まれてしまうことに。しかしレース2では、混乱をくぐり抜け8位に。今季3回目のポイント獲得を果たした。

 モナコで行われた第5ラウンドでは今季2度目のポイントを獲得し、マシンのセットアップに自信を得ていた万璃音は、モンテカルロよりもオーバーテイクしやすく、より高速な市街地コースであるバクーに向かった。2021年はこのコースに対して苦手意識を持っていたという万璃音だったが、今年はフリー走行から順調な仕上がり。マシンのフィーリングも悪くなく、チームメイトとともにデータを共有し、それぞれが速い部分、遅い部分を比較しながら、良い方向性を見つけセットアップを進めた。

 ただ気温25℃、路面温度40℃のコンディションで行われた予選では、セッション開始早々からコースインした万璃音はマシンのフィーリングをチェックし、バランスも悪くないことを確認してアタックを開始した。自信をもってチェッカーを受けた万璃音だったが、思ったよりタイムが伸びず、1分54秒732で予選15番手にとどまった。

「アゼルバイジャンは苦手なコースのひとつでしたが、今年はフリー走行からマシンのフィーリングも良く、順調な滑り出しだと感じていました。予選はマシンのバランスも悪くなくて、自分でもコントロールラインを通過した瞬間は、5番手くらいかなと思ったのですが、無線で順位を聞いた時にはあまりの悪さに驚いたくらいです。チームメイトも良くなかったので、自分たちのパフォーマンスが足りていなかったということです」と万璃音は予選までを振り返った。

 6月11日(土)のレース1は荒れたレースとなった。スタートでは好ダッシュを決めた万璃音だったが、前方でコース外に押し出されたマシンが戻ってきたため接触を避けるためにブレーキを踏まざるを得ず、その間に3台に前に出られ、1周目を19番手で終える。

 しかし、そこから冷静に前との差を詰めながら、2周目には18番手、5周目には16番手、そして他車のクラッシュによってセーフティカーが出された14周目には12番手まで浮上する。17周目、残り5周でセーフティカーが解除されると解除直後のターン2で接触のため再びセーフティカーが出され、残り3周でレース再開したが、激しい接戦の末、ターン7で単独クラッシュにより3度目のセーフティカーが導入された。

 この時点で11番手までポジションを上げていた万璃音は、ポイント獲得を目指しタイヤを温めながら前に続く。そしてレースは残り1周で再開し、一気に激しいポジション争いが繰り広げられたが、ターン1で前を走る車両がクラッシュし、万璃音もそのアクシデントに巻き込まれてしまった。

「レース1はスタートも良かったのですが、飛び出していったマシンが戻ってきてブレーキを踏むしかなく、タイミングが悪いことが重なりましたが、前にマシンがいなくてスリップが使えていない状態でもペースは悪くなかったので、荒れたレースの中でもとにかく自分がクラッシュに巻き込まれないよう気をつけていたのですが、最後は1周レース。自分もラスト1周に賭けてダッシュしたのに、多重クラッシュに巻き込まれたというか、真正面からクラッシュしたので、自分自身の身体に衝撃が走りました。その日の夜は、本当に首が痛くて眠れませんでした」と万璃音。

 翌日のレース2までにマシンの修復は間に合ったが、今回のアクシデントでダメージを負ったマシンがどの程度仕上がっているのか、不安を抱えながらのスタートとなった。そして迎えた決勝レース2。15番手グリッドからスタートした万璃音の後方では接触事故が発生し、いきなりセーフティカーが導入される。4周終了でレース再開後、8周目を過ぎたあたりからタイヤ交換でピットに向かうマシンが出始めた。

 万璃音は9周目に10番手、そして10周目に6番手とポジションを上げ、一時は3番手まで浮上したところでピットイン。タイヤ交換を済ませレース後半に突入する。18番手から再び上位を目指して好ペースで周回を重ねるが、12周目に再びアクシデントが発生し、二度目のセーフティカーが出され、15周目に再スタートとなった。

 しかしトップのリスタートのタイミングが遅く、後続が混乱してまたもアクシデントが発生し、バーチャル・セーフティカーが出された。その時点で万璃音は13番手となり、17周目レース再開後に前を行くマシンをパスし、18周目に12位、そして11番手まで浮上したところで、レースは周回数ではなく最長時間プラス1周との表示が出される。

 残り6分が出されたタイミングで10番手に浮上した佐藤万璃音は、そのままハイペースで周回を重ね、トップがクラッシュする波乱も味方し、最終的に8位でチェッカーを受け、今季3度めのポイントを加算した。

「レース2に向けてデータを見てセットを大幅に変更したのですが、良い方向でした。オプションは少しキツかったですが、プライムに履き替えてからはとても良かったです。チームメイトが先に入っていたので、ピットインを1周我慢したらタイヤが限界を超えてタイムロスが大きく、あれが無ければ、という感もありますが、レースを8位で終えることができてホッとしています」と万璃音はレースウイークを振り返った。

「次はシルバーストン。やっとまともなサーキットなので、そこで本来の実力が見えてくると思います」

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