衆院 新岡山3区は18市町村 区割り勧告、県内自治体分割は解消

 衆院選挙区画定審議会(区割り審、川人貞史会長)は16日、小選挙区定数を10増10減し「1票の格差」を是正する区割り改定案を岸田文雄首相に勧告した。岡山県は定数5が4に、広島県は7が6に再編される。10減には自民党が議席を独占する岡山のほか、和歌山、山口といった自民の有力者が地元とする県も含まれ、次期衆院選をにらんだ候補調整が焦点となる。

 見直し対象は25都道府県、140選挙区でいずれも過去最多。格差は現行区割りの2.096倍から1.999倍に縮小した。

 岡山の区割りが改定されるのは1996年の小選挙区制導入以来初めて。新1区は岡山市北区に備前、赤磐市と吉備中央、和気町を加えた5市区町とする。新2区は岡山市中、東、南区と玉野、瀬戸内市の5市区で、最も範囲が広くなる新3区は美作、井笠地域などの18市町村で構成。新4区は倉敷市全域と早島町とした。複数区にまたがっていた岡山市北、東、南区と倉敷、真庭市、吉備中央町の6市区町は分割状態が全て解消される。

 広島は東広島市などで構成する現4区を中心に再編。3小選挙区にまたがっている三原市全域を新5区に編入し、福山市全域がエリアの現7区は区割りを変更せず、新6区とした。

 新区割りは2020年国勢調査に基づく。全国で小選挙区は289あり、その半分近くで区割りが変わることになる。複数の選挙区に分割された市区の数は32。現在の105市区町から大幅に減少した。

 首相は勧告を受け「できるだけ早く法制上の措置を取らなければいけない」と記者団に表明。秋に想定される臨時国会に、勧告を反映した公選法改正案を提出する考えを示唆した。成立すれば、公布後、1カ月程度の周知期間を経て新区割りが施行される。ただ自民内には、10増10減を巡り、都市部への議席偏在を疑問視する声が根強く、曲折も予想される。

 25都道府県は(1)10増10減の岡山、広島、宮城、福島、新潟、滋賀、和歌山、山口、愛媛、長崎(各1減)、東京(5増)、神奈川(2増)、埼玉、千葉、愛知(各1増)(2)2倍以上の選挙区を抱える大阪、福岡(3)21年の衆院選の当日有権者数で2倍以上の選挙区があった北海道、兵庫(4)分割市区の全部または一部が解消された茨城、栃木、群馬、岐阜、静岡、島根。

 10増10減は、人口比を反映しやすいとされる議席配分方法「アダムズ方式」で決定。区割り勧告に含まれないが、比例代表ブロックも3増3減される。東北、北陸信越、中国が各1減。東京2増、南関東1増となる。

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