格差是正理解も都市部優先不安視 衆院区割り勧告に岡山県内有権者

 「1票の格差」の是正に向け、16日に勧告された衆院選挙区の新たな区割り案。岡山県内の有権者からは、是正の必要性を認める一方、小選挙区の1減に対して「地方より大都市圏が優先になるのでは」といった声が上がった。

 「子育てや災害対策など多くの課題を抱える中、国会に送り出す地元選出議員が減るのは残念」と話すのは、会社員男性(39)=岡山市北区。「1票の格差を縮小するためには、やむを得ないのだろうが、地方の声が届きやすい環境づくりを進めてほしい」と注文する。

 小学2年生の娘を育てるパート女性(40)=瀬戸内市=も「人口に応じてある程度見直しは必要だが、人口が多い都市部を優先するような政策が先行するのでは」と懸念を示した。

 一つの市区町村が複数の選挙区に分割されている例をなるべく解消するのも新たな区割り案の狙いの一つだった。

 県南西部が3区になるなど新たな線引きについて、農業男性(74)=津山市=は「かなり変わったというのが正直な印象だが、各地域で抱える課題は異なる。1人の政治家がどれくらい問題を把握し、解決に力を尽くしてくれるのか」と気をもむ。

 道の駅「かもがわ円城」(吉備中央町上田西)で駅長を務める田原次郎さん(55)=同町=は、吉備中央町内で選挙区が1区と5区に分かれていたことに違和感を持っていた1人。新しい区割り案では町全体が1区に統一されたことは歓迎するが、「5区側の住民は長年にわたって築いてきた議員とのパイプがなくなり、相談やお願いがしにくくなるのでは」と心配する。

 現行区割りでは倉敷市の大部分と選挙区が分かれ、5区だった倉敷市真備町地区。新しい区割り案では市全域が4区となることに、同町地区でうどん店を営む女性(54)=同市=は「見直しの理由は分かるが、これまで西日本豪雨からの復興に心を寄せてくれた議員を選んできた。その人に投票できなくなりそうで本当に残念」と心情を吐露した。

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