「理不尽に激高、身勝手」…検察、懲役3年求刑 宇都宮線内の暴行事件で初公判

 JR宇都宮線の電車内で喫煙を注意された高校生に暴行し重傷を負わせたとして、傷害や強要などの罪に問われた宇都宮市、ホストクラブ従業員宮本一馬(みやもとかずま)被告(28)の初公判が16日、宇都宮地裁栃木支部(片山憲一(かたやまけんいち)裁判長)で開かれ、宮本被告は起訴内容を認めた。検察側は「社会規範外の行動を注意され理不尽に激高した経緯は身勝手が過ぎる」と懲役3年を求刑。弁護側は執行猶予付き判決を求め、即日結審した。

 検察側は冒頭陳述で、宮本被告が電車内の優先席で横になって電子たばこを吸っていたことを説明。論告では、注意した高校生に電車内や駅のホームで執拗(しつよう)に暴行を加え、土下座させた悪質さを強調し「単に力の優位性を誇示したかっただけで、犯行は極めて自己中心的だ」と非難した。

 高校生の代理人弁護士は「勇気を出して注意した。(喫煙を)止めるどころか暴行を受け、恐怖は計り知れない」などとする高校生の意見陳述書を代読した。

 宮本被告は被告人質問で「冷静になれば明らかに悪いが、怒ったら止められなかった」と話した。弁護側は事件の経緯について「けんかを売られたと思った」とし、情状酌量を求めた。

 起訴状は、1月23日午後、下野市内を走行中の同線の電車内や自治医大駅ホームで、生徒に殴る蹴るの暴行を加え、顔の骨を折るなど約4カ月の重傷を負わせた、などとしている。

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