衆院区割り勧告 長崎県、定数1減の3へ 離島2選挙区に 長崎、佐世保の分割解消

衆院小選挙区の区割り改定案

 衆院選挙区画定審議会(区割り審)は16日、小選挙区定数を10増10減し「1票の格差」を是正する区割り改定案を岸田文雄首相に勧告した。長崎県の定数は現行の4から1減の3となり、大村市を中心とする現3区の市町を、諫早市や島原半島などの現2区と、佐世保市を中心とする現4区に振り分けた形となった。それに伴い現3区の離島は、対馬、壱岐両市が新2区、五島市、新上五島、小値賀両町が新3区と分断された。長崎、佐世保両市の選挙区分割は解消された。
 首相は勧告を受け「できるだけ早く法制上の措置を取らなければいけない」と記者団に表明。秋に想定される臨時国会に、勧告を反映した公選法改正案を提出する考えを示唆した。成立すれば、公布後、1カ月程度の周知期間を経て新区割りが施行される。ただ自民内には、10増10減を巡り、都市部への議席偏在を疑問視する声が根強く、曲折も予想される。
 区割り勧告は1994年の小選挙区比例代表並立制導入後、4回目。今回は人口比を正確に反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」を採用した。基準となる2020年国勢調査の本県人口(日本人)は130万4001人。前回15年調査から約6万5千人減少した。本県は今回を含め3回改定の対象となっているが、定数減は初めて。
 新1区は長崎市。新2区は9市町(島原、諫早、大村、対馬、壱岐、雲仙、南島原、長与、時津)。新3区は11市町(佐世保、平戸、松浦、五島、西海、東彼杵、川棚、波佐見、小値賀、佐々、新上五島)。
 20年国勢調査時点の人口は新1区40万6517人、新2区47万6719人、新3区42万765人。区割り審は人口最少の鳥取2区(27万3973人)との1票の格差が2倍未満に収まるよう検討し、新1区は1.484倍、新2区は1.740倍、新3区は1.536倍となった。
 県は今年1月、総務省に意見書を提出。長崎、佐世保両市の分割を解消するほか、離島の選挙区は本土地域との経済、生活、交通の関連性などを総合的に考慮することなどを求めた。
 大石賢吾知事はコメントを発表し、分割解消について「地域の意見を踏まえて対処された」と評価する一方、佐世保市と五島列島などをまとめた新3区について「選挙区の一体性に課題が残る」と指摘。「人口の増減のみで議員数を決めるのではなく、地方の議員が一定確保される仕組みを検討すべきだ」とした。


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