猫から人間へのコロナ感染を初確認 検体採取時にくしゃみされた獣医師が陽性、タイ研究チーム報告

「オミクロン株」の電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 タイのプリンス・オブ・ソンクラー大学は6月17日までに、南部ソンクラー県で、新型コロナウイルスがネコを介して人間に感染したケースが確認されたとする研究結果をまとめた。研究チームはネコから人への新型コロナ感染が確認されたのは初めてとしている。

 研究によると、2021年8月にバンコク在住の父子が新型コロナに感染。ソンクラー県の病院に入院し、その時連れていた飼い猫も検査のため動物病院に送られた。検体を採取する際にネコが女性獣医師(32)に向かってくしゃみをしたといい、獣医師は数日後に感染が確認された。ネコの検査結果も陽性だった。

 研究チームは、ネコと獣医師のウイルスの遺伝子が一致したことや、獣医師の濃厚接触者に新型コロナの感染者がなかったことなどから父子からネコに感染し、さらに獣医師に感染した可能性が高いと結論付けた。

 これまで人間からネコに感染したケースは確認されているが、逆のケースはなかった。研究チームのサランユー医学博士は「ネコから人に感染する危険性は低いが、ウイルスを拡散させないためにも感染している間はペットとの接触は控えてほしい」と話した。

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