スペースX、エジプトの通信衛星「ナイルサット301」の打ち上げに成功 通信サービスを拡大へ

スペースXは現地時間6月8日、エジプトの通信衛星「Nilesat-301」(ナイルサット301)の打ち上げに成功しました。この衛星によって、中東地域や北アフリカ地域だけでなく、南アフリカ地域とナイル川流域にも通信サービスを提供・拡大できるようになるということです。

【▲ Nilesat-301を搭載して打ち上げられるファルコン9ロケット(Credit: SpaceX)】

ナイルサット301を搭載したスペースXの「ファルコン9」ロケットは、アメリカ東部夏時間2022年6月8日午後5時4分、フロリダ州にあるケープカナベラル宇宙軍基地第40発射施設から打ち上げられました。静止トランスファー軌道へ投入されたナイルサット301は今後、衛星自身が持つ燃料を用いて、約1ヶ月ほどかけて所定の静止軌道へ移動します。移動後は、軌道上での試験を経て、運用が開始されます。

今回使用されたファルコン9ロケットの第1段機体は、打ち上げ後に地球へ帰還し、大西洋上に待機していたスペースXのドローン船「Just Read the Instructions」へ着陸しました。この機体は、これまでにGPS衛星の打ち上げ2回、有人宇宙ミッション「Inspiration 4」「Ax-1」2回のスターリンク衛星打ち上げで用いられてきており、今回で7回目の飛行と着陸に成功しています。

【▲ 組み立て中のNilesat-301(Credit: Thales Alenia Space)】

ナイルサット301は、エジプトの通信事業者「Nilesat(ナイルサット)」が運営しており、主に衛星放送サービスや衛星通信サービスの提供に用いられます。衛星はナイルサットの受注を受けて、フランスに本社をおく宇宙企業「Thales Alenia Space(タレス・アレニア・スペース)」が開発から製造、試験を担当しました。衛星には、KuバンドとKaバンドのトランスポンダー(送受信器)が搭載されています。Kuバンドは衛星放送サービス、Kaバンドは衛星インターネットサービスとして、それぞれ用いられるということです。

【▲ Nilesat-301のイメージ図(Credit: Thales Alenia Space)】

ナイルサット301の設計寿命は15年です。ナイルサットが2010年に運用を開始した「Nilesat-201」は2028年に燃料が切れると予想されており、ナイルサット301がその後継機として使用される予定です。

Source

  • Image credit - SpaceX, Thales Alenia Space
  • SpaceX \- Nilesat 301
  • Thales Alenia Space \- NILESAT 301 COMMUNICATIONS SATELLITE SUCCESSFULLY LAUNCHED
  • Space News \- Egypt's Nilesat 301 passes health checks after SpaceX launch
  • sorae打ち上げ情報 \- エジプトの通信衛星「Nilesat-301」軌道投入成功 - 打ち上げ情報

文/出口隼詩

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