山須原ダム 改造完了 土砂堆積防ぐ機能加わる

大規模改造工事を終え、通砂運用が可能になった九州電力の山須原ダム

 諸塚村の九州電力・山須原ダムに「通砂運用」の機能を付加する改造工事完了を記念し、安全祈願祭が11日、同ダムであった。流域自治体や工事関係者ら約50人が参加。事故のない運用や住民の安全を願った。
 ダムの通砂運用は大規模出水時に水位を下げ、水の力を利用して土砂を流し堆積を防ぐもの。2005年の台風14号で耳川流域では大規模な洪水被害が発生。大量の土砂が河川やダムに流れ込んだことが一因とされる。県など関係機関は11年、「耳川水系総合土砂管理計画」を策定。九電が管理するダム7基のうち、3基で通砂運用を検討し、同年から山須原ダムの改造工事を行っていた。
 既設のゲート8門のうち中央の2門を撤去。越流部を9メートル切り下げ、幅約14メートル、高さ約16メートルの大型ゲート1門を新設した。九電によると、発電運用を行いながらの大規模改造工事は全国でも例がないという。
 祈願祭では神事の後、西田員敏県県土整備部長が「工事完了により流域の安全安心な暮らしにつながることを期待する」と祝辞。九電の池辺和弘社長は「今後も地域と共存し、いい耳川を目指していきたい」とあいさつした。
 下流の西郷ダム(美郷町)は17年に改修を完了。既存の構造で運用が可能だった大内原ダム(同)とともに、同年から通砂運用している。

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