木下サーカスが創業120年の節目に地元・岡山に帰ってくる。4年ぶりとなる岡山公演では、猛獣ショーや華麗なアクロバット、伝統芸など夢あふれる演目を披露する。26日の開幕を前に、見どころとなる演目を紹介する。
大きな体を揺らし、ゆったりとした足取りでライオンがステージに現れた。世界に300頭ほどしかいないとされるホワイトライオン4頭を含む6頭。金網で囲われているとはいえ、時折牙をむき、低いうなり声を上げる「百獣の王」の登場に、客席には緊張感が走る。
だが、英国人調教師マイケル・ハウズさん(52)の合図で、雰囲気はがらりと変わる。ライオンたちは台から台に飛び移ったり、大きな輪をくぐったり…。俊敏でしなやかな動きを見せたと思ったら、後ろ足2本で立ち、前足を小さく動かす。「おいでおいで」と言っているようなユーモラスな姿に会場から笑いが起きた。
「勇猛さだけでなく、身のこなしの美しさやかわいらしさなど、ライオンのさまざまな面を見てもらえるショーを意識している」とハウズさんは胸を張る。ライオンは知能が高く、「Here(ヒヤー)(こちらへ)」「Stop(ストップ)(止まれ)」などの言葉を理解するとも言う。
ハウズさんはこの道30年以上のベテランだ。ホワイトライオンは通常のアフリカライオンより体が一回り大きく気性も荒いとされ、ライオン同士でけんかすることもあったが、時間をかけた訓練で息の合った演技を見せるようになった。
「信頼関係が何より大切」と普段から獣舎のすぐそばで暮らすハウズさん。ライオンとの関係について聞かれると「父と子、ボスと部下、友達同士…。一言では言い表せられない」と笑って言う。「人と動物がコミュニケーションを深めて面白い舞台をつくり上げていくのを見てほしい」
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「木下大サーカス岡山公演」(山陽新聞社主催)は26日~9月7日、岡山市北区北長瀬表町の岡山ドーム東隣特設会場で開かれる。前売り券は大人3千円(当日券3500円)、3歳~高校生2千円(同2500円)など。問い合わせは木下大サーカス岡山公演事務局(086―241―0045)。