「基腐病」霧島酒造も対策強化 サツマイモ買い取り価格上げ

 「サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)」が、コガネセンガンなど焼酎用の銘柄にも深刻な被害を与えている。今月一部商品の値上げを発表した霧島酒造(都城市、江夏順行社長)は、本年度集荷分からサツマイモの買い取り価格を値上げ。生産者の負担軽減へ注力するほか、4月には専門部署「農業生産支援本部」(3人)を発足、基腐病の対策・支援を強化している。
 同社が仲買会社を介して契約する県内のサツマイモ農家は約1300軒。この数年は基腐病対策にかかる経費に加え、生産コスト(肥料、農薬、燃料など)の上昇、天候不順による収量減などを理由に、転作や離農が相次いでいたことから価格見直しに踏み切った。
 新設した支援本部では、発生が疑われる畑での現地調査のほか、ドローンによる農薬散布態勢を整備。中長期的には、健全な苗(ウイルスフリー苗)や種芋の確保・供給に取り組んでいく。
 主力商品の「黒霧島」や「白霧島」の原料であるコガネセンガンは基腐病に弱く、「赤霧島」に使うムラサキマサリの耐性もコガネセンガンよりやや高い程度とされる。他品種への転換については「現時点では未定」だが、「今後、各銘柄の品質を担保できる抵抗性のある品種が出てきた場合は使用を検討する」という。
 同社は「これまで高品質な焼酎が提供できたのは、質の高いサツマイモを生産してくださった農家のおかげ。お客さまにおいしく飲んでいただくためにも、できることから迅速に取り組んでいきたい」としている。

© 株式会社宮崎日日新聞社