「空中分解だ」「身が引き裂かれる」─。衆院選挙区画定審議会(区割り審)が、「1票の格差」是正に向けて小選挙区定数を「10増10減」する区割り改定案を岸田文雄首相に勧告した。神奈川県内では、小選挙区制が始まって以来最大となる計11選挙区で境界線が変更され、現行の18選挙区から20選挙区に増える見通しとなった。改定案では行政区内で選挙区が異なる「行政区分割」が解消される一方で「3分割」される選挙区もあり、現職議員からは驚きや戸惑いの声が漏れた。
現行の13区は大和、海老名、綾瀬市と座間市の一部を選挙区としているが、改定案では海老名市が新16区に、座間市が新設の20区に組み入れられ、残った大和、綾瀬市に横浜市瀬谷区が編入されて新13区となる。
13区を地盤とする自民党前幹事長の甘利明氏(比例南関東)は「うち(の選挙区)は空中分解されてしまった感じで、どうするか。しばらく時間をもらって考えないと…」と困惑を隠せない。「調整材料にされてしまった。地域とのつながりを完全に無視して数字だけで決めるのは限界ではないか」と疑問を投げかけた。「頻繁に変えられる選挙民ももてあそばれていると感じるだろう。もう少し選挙民との関係を大事にする増減の仕方はあると思う」とも語る一方で、「決まったものはどうにもならない」と肩を落とした。
「この身が引き裂かれる思い。有権者から託された思いを考えると、とても悲しい」と嘆きつつも、改定案を好機と捉えようとしているのは、同じく13区を地盤とする立憲民主党の太栄志氏。
新たに編入される横浜市瀬谷区に米軍から返還された旧上瀬谷通信施設跡地があることを踏まえ、外交・安全保障に取り組む観点から「跡地が活用できれば、今後の基地返還のモデルケースになる」と前を向く。