白山地区でコウノトリ3羽が元気に巣立ち 福井県越前市、並んでお散歩

巣立ちを果たして田んぼ脇に降り立つコウノトリの(左から)きなこくん、いそべくん、わらびくん=6月17日、福井県越前市安養寺町

 福井県越前市白山地区の安養寺町の人工巣塔で生まれた国の特別天然記念物コウノトリのひな3羽が6月17日、巣立った。里山保全に長年取り組んできた同地区で、野外繁殖によるひなが巣立つのは3年連続。県内の野外ひなの巣立ちは今年初で4年連続となった。

 巣立ったひなは、いずれも雄の愛称「いそべくん」「きなこくん」「わらびくん」。市によると、同日朝から昼にかけ順次、巣塔から田んぼに降り立っているのが確認された。3羽は並んで田んぼ脇を歩いたり、羽をばたつかせたりする姿を見せていた。

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 親鳥は、2016年に同市坂口地区で放鳥した雄「たからくん」と、同年に兵庫県豊岡市で生まれた雌「みやび」。白山地区に19年から毎年飛来して産卵しており、20年にひな4羽、21年には1羽が巣立っている。

 白山・坂口地区では、住民たちが生き物に優しい米作りなどの取り組みを重ねてきた。「水辺と生き物を守る農家と市民の会」前会長の恒本明勇さん(75)は「みんながコウノトリを呼び戻したいという熱い思いを持ってやってきた成果。自然との共生へさらに頑張っていきたい」と喜びをあらわにしていた。

 福井県自然環境課は、県内4年連続の巣立ちを「地域の方々による継続的な環境づくりが実を結んでいる」と評価。今年は越前市坂口地区、小浜市国富地区に加え、鯖江市吉川地区でも野外ひなが育っており、「豊かな自然環境が広がったことの表れ。地元の協力を得ながら維持していきたい」としている。

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