今後はスッキリ? バッサリ? 携帯電話の充電端子 未来はどうなる? EUでは統一の方針

わたしたちが毎日、お世話になっている携帯電話の充電端子。今はいろんな型があって、家庭やオフィスでは、充電エリアがこんなことになっているかも…。

RCC

そんな中、ヨーロッパでは今後、この「USBタイプC」、一択となる見込みです。

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アンドロイド派
「ぼくは全部、タイプCにしてもらった方が、なんでもかんでもタイプCにしてほしい」

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iPhone派
「携帯変えたら、みんな、できるから便利と思うけど、それまでは急に変えられたら難しい」

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両刀派
「1本になればもちろん助かる。持ち歩くのが1本になるので、助かりますけど」

きょうのテーマは、『今後はスッキリ? バッサリ? 携帯電話の充電端子 未来はどうなる?』

スマホはアンドロイドか、iPhoneでだいたい分かれています。昔はもっといろいろあったのですが、現在、電子機器の充電器の端子は主に2種類。アンドロイドが使う「USBタイプC」と、iPhoneが使う「ライトニング」。

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そんな中、EU各国と欧州議会は、EU域内で販売されるスマートフォンなどの電子機器の充電器の端子を「USBタイプC」に統一するという規制案で大筋合意しました。2024年秋にも幅広い機器に適用される見通しです。

今すぐ日本がどうこうという話ではないのですが、気になる動きです。そもそもこの2つの端子はどういった違いがあって、なぜ、こんな動きが起きているのでしょうか。元日経トレンディの記者で、さまざまなキャリアやメーカーを幅広く取材しているスマホ・ジャーナリストの石川温さんにうかがいました。

RCC

スマホ・ジャーナリスト 石川温さん
「EUはアメリカ企業のことが好きじゃないようで、こういった動きがあるのかなと個人的には思います」

RCC

― 統一化の背景は?
「根本的には充電端子が2種類あるのは、やはりユーザーにとっては使いにくい。不便。昔はノキア・モトローラ・パナソニック・ソニー・シャープ…、全部のメーカーそれぞれ充電端子が違ったが、ようやく2つにまとまってきた。Appleか、それ以外かといった形になっている。1つに統一したいというところはEUとしてはあると思います」

RCC

― USBタイプCとライトニングの特徴は?
「USBタイプCは、ライトニングに比べて新しく、充電が早くできる。データをたくさんやりとりできる。さらにはいろんなメーカーが採用していて、汎用性が大きいのかなというふうに思います」

RCC

「一方のライトニングは、アップル社しか採用していない、アップルの技術。充電スマートフォンの充電は、かなり安全面が重要。勝手に規格外のケーブルやコンセントを使うと、スマートフォンが爆発・燃えるということもある。アップル社としてはできるだけ自分たちがつくった技術を守ってくれる会社につくらせたいと」

先月、発表されたアウンコンサルティングがまとめた世界のモバイル機種のシェアです。サムスンとiPhoneが競っている状況。

RCC

ただ、それぞれの機種に搭載されているオペレーションシステム(OS)でいうと、アンドロイドが約7割。では、なぜ、アップル社はライトニングを使い続けるのでしょうか?

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スマホ・ジャーナリスト 石川温さん
「(アップル社は)ユーザーを守るため、充電器の規格を守るメーカーに作ってもらい、安心して充電してほしい。一方で、ライセンスを与えることによってライセンス収入を得る。アップル社からしっかりお墨付きをもらっているというビジネスモデルを作ることによって、アップル自身がもうかる仕組み。その両方があると思います」

RCC

「世界中にiPhoneユーザーがいて、それなりに充電器も売れたりするので、アップル社としてもその収入をなくしたくないんだろうなと思います」

RCC

アップル社がライトニングの製造を認証制にしている理由は、かつて充電器からの発火などが相次いだことから安全性のために規格を設定したからです。

一方、タイプCは、そういった規格はありません。ある意味、誰でもつくれて競争が起きて、安価になるというわけです。

RCC

と言いつつ、アップル社でもすでにiPadではタイプCという状況もあります。これは、大容量のやり取りが必要だから。今後、5G対応となり、高性能化する中で、iPhoneがタイプCになっていくという見方もあるのです。

RCC

スマホ・ジャーナリスト 石川温さん
「やはり切り替えざるを得ない形に雰囲気的にはなっていると思う」

RCC

― EUの決断が世界・日本にも波及?
「例えば、アップルが本当にUSBタイプCにするのであれば、ヨーロッパ向けだけではなく、全世界向けのiPhoneがUSBタイプCになると思う。結果として日本で流通するものもUSBタイプCになってくるのかなあと。結局は、ヨーロッパの決断が日本でも恩恵を受けられるという形になると思う」

RCC

「一方で今、iPhoneは非接触、ケーブルが少なくても充電できる仕組みもある。将来的には、ライトニングもUSBもやめて、端子をなくして、非接触で充電する方式だけにするという可能性もあり得るのかなと思う」

RCC

ケーブルを使わない、いわゆる「置くだけ充電」は始まっていますが、例えば、非接触の技術で急速充電や高速で大容量のデータ移動ができるような新たなイノベーションができればという期待感もあります。IT業界の競争なのでしょうが、使う側の視点を忘れずに進んでくれればと思います。

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