規格外トマトで名物メニュー 藤沢の和食店、食品ロス削減に一役

規格外でも味は一級品のトマトを仕入れ提供している「仁や」店主の桑原さん=藤沢市

 藤沢産の農水産物を使った料理が人気の和食店「仁や」(藤沢市朝日町)が、大きさや形が規格に合わず出荷できないトマトを地元農家から仕入れている。味は一級品で、そばのトッピングや100%果汁のジュースとして提供。食品ロスの削減に一役買っている。

 店主の桑原仁さん(47)は今春、長年取引している同市御所見地区の亀井農園へ野菜を仕入れに行った際、規格外のトマトが廃棄されていることを知った。

 さっぱりとした酸味が特徴のトマトは同農園の主要産品の一つ。形が悪かったり筋が入っていたりしても、出荷される商品と比べて、味にまったく遜色がないことから、桑原さんは買い取りを提案した。若手農家としてかねてSDGs(持続可能な開発目標)に関心を持っていた3代目の亀井尋仁さん(28)も、生産者として食品ロスの削減につながればと賛同した。

 店では5月から夏のメニューの冷やしたぬきに規格外のトマトをトッピングして提供。単品の冷やしトマトや生ジュースなども加え、地産地消の名物メニューとなった。夜の宴席では焼酎のトマト割りも人気となっている。

 これまでも片瀬漁港(同市片瀬海岸)で仕入れた未利用魚を使った料理を提供するなど食品ロス削減に熱心な桑原さん。「形が規格に合わないだけで廃棄されてしまう地元産トマトのおいしさを知ってもらい、食品ロス問題を考えるきっかけにもしてもらいたい」と話す。問い合わせは同店、電話0466(90)5820。

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