日本代表、「6月シリーズ4連戦」で評価を上げた6名の選手

半年後のカタールワールドカップに向けた強化試合として組まれた6月シリーズ4連戦。

森保一監督率いる日本代表は、パラグアイ、ブラジル、ガーナ、チュニジアと対戦し、2勝2敗という成績に終わった。

本大会に向けた選考も兼ねた今回の代表活動。その中で評価を上げた選手たちを6名ピックアップした。

板倉滉

今回の代表活動で最大の収穫と言ってよいだろう。

今季ドイツ2部のシャルケ04でレギュラーとしてプレーし、1年での1部復帰に大きく貢献した25歳は、日本代表でもその力を遺憾なく発揮した。

「行くとき」と「行かないほうがいいとき」の判断力と対応力が向上したことで、危機管理の質が一段階上がったことは明らか。

ビルドアップでも繋ぐだけでなく運ぶ選択肢をしっかりと持てており、川崎フロンターレ出身らしく相手にとって何が嫌かを考える姿勢が常にうかがえる。

吉田麻也からポジションを奪う日は近いだろう。

山根視来

ガーナ戦では久保建英、堂安律との連携から鮮やかな先制点を奪った一方、自らのミスパスで痛恨の同点弾を招いてしまった山根視来。

ただ、東京五輪で奔放さが目立った久保・堂安と右サイドで見事な関係性を築くなど、攻撃面で味方をサポートする能力は日本人サイドバックで他の追随を許さないレベルだ。

懸念だった守備面も、自身初の南米勢やアフリカ勢との対戦で役割をきっちりこなした。

ワールドカップ本大会ではドイツ戦とスペイン戦ばかりが注目されるが、間のコスタリカ戦は堅守をこじ開けて必ず勝点3をものにしなければいけないゲーム。

この試合で山根の相手ブロックを崩す能力が絶対に必要であることを考えれば、6月シリーズを経て本大会メンバー入りは確実になったと言える。

伊藤洋輝

待望の初招集。ドイツで1シーズンを戦い抜いた23歳のDFは日本代表でも戦力になれることを証明した。

主に左サイドバックでの出場となったが、ブンデスリーガで成功と失敗を繰り返しながら磨かれた守備面はJリーグ時代と比べて大きく向上。

まだまだ成長の余地はあるものの、長身ながらスピードも兼ね備えることで攻守におけるサポートの速さも目を付いた。

攻撃面で今回浮上した課題は、ボールの持ち方。

魅力の一つである左足のキックと日本代表の強みである前線のスピードスターを生かすためにも、内田篤人氏がたびたび言う「サイドバックとしてボールを置く位置」にもっとこだわりたい。

原口元気

守田英正が負傷により1試合も出場できず離脱したなか、中盤で存在感を見せたのが原口元気だ。

予選突破を決めた今年3月のオーストラリアでも途中出場で精力的な動きとプレーの精度が光った31歳は、6月シリーズでも躍動。

オン・オフを問わない縦への速さに加え、守備でもブンデス仕込みの強さと鋭さを見せた。

守田や田中碧が“6番”だとすれば、自分や鎌田大地は“8番”の選手という言葉通り、差のある部分を認めつつ特長の違いをチームに還元する姿勢を強調した原口。

多くのポジションをこなせることを考えると本大会ではキーマンの一人となるかもしれない。

堂安律

悔しい招集外を経て、森保監督就任当初から重要な役割を担ってきた堂安律がチームに戻ってきた。

この間、所属のPSVで充実した時間を過ごしたこともあってか、今回の代表活動では自らの立ち位置に準じた振る舞いがピッチ内外で目立った。

ピッチ上では、仕掛けの姿勢を常に持ちながらも相手を見ながらピッチの幅を取り、チームの勝利のため久保建英や逆サイドの三笘薫を意識してある種黒子のようにプレー。それでいながら自らも攻守で持ち味を発揮している。

クラブで堂安と同じ左利きの家長昭博と組む山根視来のサポート力に助けられた面もあるが、伊東純也に依存しがちだった右サイドで堂安がこれだけやれたことはポジティブな要素に違いない。

三笘薫

デビューから7試合で4ゴール2アシスト。森保ジャパンをカタールの地へと導いた天才ドリブラーがいよいよ日本のエースとなりつつある。

欧州で1年プレーしたことにより逞しさは明らかに増し、守備の意識が高まったことで試合から消える時間もかなり減った。

自慢のドリブルは、ブラジル戦でこそ完封されたものの、レアル・マドリーのレギュラーCBミリタオンへの挑戦は今後に向けてプラスにしかならない。ガーナ戦では左サイドからの高速クロスでゴールを決めるなどプレーのバリエーションも増えている。

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三笘薫という最強の武器を、先発で使うのか。それともあくまで時間限定のジョーカーとして使うのかー。

南野拓実の左サイドが守備面のみの機能性にとどまっていることを考えると森保監督の決断が期待される。

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