<3>立民、出遅れ挽回に必死 共闘不調の野党 共産は比例上積み狙う 【「乱戦」の構図 2022とちぎ参院選】

立民の泉代表が駆け付けた街頭演説=17日午後、鹿沼市仲町

 「汚い政治、緊張感のない政治を変えましょうよ」。17日、鹿沼市の街頭で立憲民主党の泉健太(いずみけんた)代表が声を張り上げた。

 栃木選挙区に立候補する同党新人板倉京(いたくらみやこ)氏(55)の応援で駆け付けた泉氏。同市を訪れるのは2007年の参院選以来で、当時、追い風を受けて旧民主党は参院第1党に躍進した。立民の支持率が伸び悩む中、泉氏は「逆転の夏に結び付けたい」と鼓舞した。

 だが、状況は厳しい。19年の前回参院選では共産党が候補者を取り下げ立民候補に一本化したが、今回、野党共闘は不調に終わった。与党と接近する国民民主党の推薦も得られていない。昨年の衆院選で票を伸ばした日本維新の会を含む野党各党が候補を擁立し、自民党への批判票は分散することになる。

 頼みの綱は、最大の支援団体・連合栃木の組織力だ。立民は推薦を得た連合栃木と共に総合選対を結成し態勢を固めた。ただ、連合は加盟労組によって主な支持政党が立民、国民に分かれ一枚岩とは言い切れない。「活動は限られる」(国民関係者)との声も漏れる。

 板倉氏の擁立決定は4月中旬と遅れ、知名度不足も大きな課題だ。挽回のため街頭演説は既に300回、集会参加は100回を超えた。税理士の経歴を生かし、主に税制改革などを訴える。選対幹部は「前回選挙以上の運動量」と自負する。

 得票目標は、前回から10万票上積みの38万票に設定。達成するには投票率を上げ、無党派層を大量に取り込む必要がある。松井正一(まついしょういち)県連幹事長は「物価高で政治への不満は高まっている。声を受け止め支持を伸ばしたい」と意気込んだ。

 9年ぶりに参院選で独自候補を擁立する共産党県委員会。3月、昨秋の衆院選で栃木5区から出馬した新人岡村恵子(おかむらけいこ)氏(68)の擁立を発表し、準備を進めてきた。

 野党共闘を目指す市民団体の呼びかけで立民との協議を行ったが、岡村氏の擁立を取り下げなかった。立民を支持する連合栃木が共産との共闘に否定的であることなどが背景にある。

 「私たちは今、戦争か平和かの岐路に立っている」。11日午後、栃木市で開かれた集会で岡村氏は訴えた。平和や暮らしを守る政治を全面に掲げる。

 県内の各支部、党員が活動を支え、岡村氏は公示前に全25市町に入る。党関係者は「手応えは十分ある」と語り、選挙区と合わせ比例票の上積みも図る。比例票9万票以上を目標としている。

 

車上から演説する立憲民主党の泉代表(右から2人目)と板倉氏(同4人目)=17日午後、鹿沼市仲町
車上から手を振る立憲民主党の泉代表(右から2人目)と板倉氏(同3人目)=17日午後、鹿沼市仲町

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