初優勝は「最高の気分」サッシャ・フェネストラズ。「少しウルッとした」近藤真彦監督【SF第5戦SUGO決勝トップ3会見】

 6月19日にスポーツランドSUGOで開催された2022年全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦。決勝後の会見で優勝を飾ったサッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)、2位の大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位の野尻智紀(TEAM MUGEN)、そしてKONDO RACINGの近藤真彦監督がレースを振り返った。

■サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)

決勝 優勝

「3年目でようやく優勝することができ、最高の気分だよ。振り返ると昨年は多くのレースで走ることができず、本当に残念な年だった。デビューした2020年シーズンもリタイアが多くて結果が出せず、チームにとっても苦しいシーズンが続いていたけど、今日勝つことができ、本当に嬉しいね」

「レースではチームメイトの(山下)健太は残念な結果となったね。だけど、チーム全体を振り返れば非常にいい波に乗れていると思う」

「今日のレースはスタートとタイヤマネジメントが鍵だった。いいスタートを決めることができ、10周目終わりにピットを済ませた後は集団の中でポジションをキープする戦いになった。タイヤのデグラデーション(性能劣化)を抑えつつのレースだったけど、本当にここでのタイヤのマネジメントが重要な鍵になったね。優勝できて本当に嬉しく思っているよ」

「2回目のセーフティカー明けのリスタートのときは、前の三宅(淳詞)とのギャップをわざと作ったんだ。なるべくクリーンエアで走れるように、そして前で何かアクシデントが起きた際に巻き込まれないように意図的にスペースを作ったんだ。僕はニュータイヤを履いていたし、すぐに(ステイアウト組の隊列に)追いつくからね。でも、三宅に追いついたらクリーンエアもなかなかなかったし、リスクもあったからオーバーテイクには至らなかったね」

「後ろから大湯も近づいてきて、2台に挟まれるかたちになったけど、自分のポジションを守るべく、とにかく落ち着いていこうと思ったね。40周強も同じタイヤで走ることになったから、タイヤマネジメントに徹したんだ」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)

■近藤真彦監督(KONDO RACING)

「(3年ぶりの優勝は)やはり長かったなと思いますね。 今年はシーズンオフのテストからかなり調子が良くなっている実感はありました。シーズンが進むごとにチームに安定した速さがあることはわかっていたので、いつでもチャンスがあると思っていました。ただ第4戦も、その前のレースも何かひとつ足りない、引っかからないものがあって、優勝を逃していました。ただ、いつも好位置で予選を終えていれば、どこかで必ずこういう日が来ると思って、信じてやってきました。全体的に見れば(3年ぶりと)長かったですけど、今シーズンとしては早く優勝の機会が来てくれたので、よかったなと思います」

「サッシャは、ピットの後は宮田(莉朋/kuo VANTELIN TEAM TOM’S)選手との戦いになりましたが、逃げ切るとは思っていました。最後はタイヤも厳しかったのですが、タイム差も見えていましたからね。とにかく、サッシャに関しては最初は好スタートに尽きたと思います」

「(久しぶりの優勝で泣きそうになったかという問いに対し)そうですね……。実際、そういう場面はありました。ただ、そこはこらえましたね。久しぶりの優勝でしたし、チームのみんなが本当によく頑張ってくれたなと。あと、レース後のパルクフェルメに健太が来てくれたことも嬉しかったですね。仲良く手を繋いで、というチームではありませんが、それでもやはりチームワークがしっかりとしているなと感じまして、少しウルッとくる場面はありました。でも、(涙が)ポロっとまではきてません」

「健太には、サッシャがチェッカーを受けてすぐに、『次はお前だから』と声をかけました。ふたりの課題は揃ってスタートです。予選でポジションが良くても、スタートで落としてしまっている。前回のオートポリスが終わってからも『君たちは予選で前にいても、今のスタートのままだったら1コーナーで終わってしまう』と話しました」

「サッシャは今日スタートを決めてくれました。健太はまだ、もうひとつ“普通”のスタートでした。“普通”のスタートだと、予選で前にいても、後方のいいスタートの車両に抜かれてしまう。だから、スーパーフォーミュラのスタートは普通であってはいけないと考えています。今日の健太は、後方のスタートのいいクルマにつつかれている状況でしたので、映像を見返し勉強して、健太にはまた予選を頑張ってもらって、スタートも頑張ってもらえれば、いつか彼もまた勝てると思っています。いつ勝ってもおかしくはないドライバーなので、次は健太にトップでゴールしてもらいたいですね」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 近藤真彦監督(KONDO RACING)

■大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

決勝 2位

「久しぶりに上位で争うことができ、本当に良かったなと思います。チームも本当にすごく頑張ってくれて、 ピット作業も完璧にやってくれたので、この結果があると思います。かなり苦しんだシーズン前半でしたけど、こうやってチーム全体として、徐々に良くなっていっています。この結果を踏まえて、次戦に向けても士気も上がって頑張れると思うので、本当にこういう結果を残せてよかったなと思ってます」

「今回スタートも非常に良くて、一気に3番手までスタートで上げることができました。それまでもスタートに対してはすごくこだわりを持って、 いろいろ研究してやってきました。それが実を結んだのかなと思います。その後のピット作業でも、今までピット作業に関しては課題をチームとして持っていたので、どうしたらいいかというのをチーム全員で考えて毎戦やっていたので、それが実を結んだので本当良かったです」

「(フェネストラズを)オーバーテイクするには、そこまで(ギャップを)詰められなかったのもありますし、例年に比べてトヨタ/TRDエンジンもすごく伸びてるというか、エンジン自体のパワーで拮抗していて、簡単には抜けなかったです」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)

■野尻智紀(TEAM MUGEN)

決勝 3位

「またしても……という感じですね。でもチャンピオンシップを考えると3位というのは悪くない結果だと思います。勝てなかったことは非常に悔しいですが、シーズンの折り返し地点でポイントランキングのトップにいますから、それに関してはいいことだと思います。次戦は約1カ月後と期間が開くので、ゆっくり休息をとりながら、もう1回自分自身を復活させて、また第6戦の富士からしっかりと戦えるよう、自分自身を作っていきたいなと思います」

「残念ながら、ここ最近はポールスタートから勝てないレースが続いてますが、何度でも挑戦をして。この流れやジンクスを打ち破ったときに、またスポーツ選手として皆さんに何か感じ取ってもらえることができるのかなと思います。また必死に頑張っていこうと思います」

「昔を振り返るとよく“えびスタート”だと言われた時代もあったと思いますが、払拭して、ここ最近はポールからしっかりとスタートを決められることが多かったので、今回も普通にやればと思っていたのですけれど、もう少しスタートのクラッチのバイトポイントの合わせ込みを攻められたかなと思います。そこは少し甘かったかなと。スタートの初動の部分で、適切なクラッチミートができなかった、少し半クラ気味になってしまったというところで、前に出られてしまいました」

「(ピットで大湯に先行を許したことについて、ピット作業で何かあったのかと尋ねられて)まだわからないですけど、少し遅かったのかなと思います。けど、もしピット作業が遅かったとしても、いつも(チームに)助けてもらっているので、あそこから挽回するのが僕の仕事だと思います。それができなかったのは非常に残念ですね」

2022スーパーフォーミュラ第5戦SUGO 野尻智紀(TEAM MUGEN)

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