慰霊の日を前にシンポジウム「沖縄戦の教訓を軍事基地のない社会のために!―島田知事賛美の映画と第32軍司令部壕保存公開活動を問う」が19日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。戦争体験者や研究者らが、沖縄戦直前に着任した島田叡知事による戦時行政などについて議論した。
戦争体験者の宮城ヨシ子さん(91)は首里から本島北部の東村有銘へ逃げたことを語った。爆弾で腕に傷を負い「山には病院もないのでアンダマースを塗ってしのいだ。今も左肘が完全に曲がらない」と話した。
名護市史の編さんに携わった沖縄戦研究者の川満彰さんは「(島田知事が進めた)北部への住民疎開は明確な失敗だ。多くの住民が犠牲になった」と指摘。「南部で住民に『生きろ』と言ったのかもしれないが住民を北部へ集める前に言ってほしかった」と述べた。
ジャーナリストの新川明さんは島田知事を題材とした映画「島守の塔」の製作委員会が琉球新報社、沖縄タイムス社などで構成されていることを「残念に思う」と述べた。
シンポジウムは批評誌「N27」編集室が主催。友知政樹さん(沖縄国際大学教授)、伊佐眞一さん(沖縄近現代史家)も登壇した。
(宮城隆尋)