女性議員を増やすには何が必要か? “Z議会”が展開する本質的な議論

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「モニフラZ議会」では、女性議員を増やすには何が必要なのか、Z世代の論客が議論しました。

◆来たる参院選に向け、各党が女性候補者の擁立に積極的

夏の参院選に向け、各党が女性候補者の擁立に前向きな姿勢を示しています。自民党の茂木幹事長は、「3割は女性にするということで取り組んでいきたい」と展望を述べていますが、現在の国会の女性議員の比率は衆議院が9.7%で参議院は23.2%で、その割合は世界でも最低レベル。

茂木幹事長は「選挙区では現職が辞めないので議席がなかなか空かない」とも話しています。

そうしたなか、参院選を控えた各党の女性候補の擁立状況(※5月24日時点)を見ると、自民党は目標として比例区で3割とするも現状は2割に届いていません。公明党は目標を掲げず、女性候補の擁立に努力を続けるとしています。

一方、立憲民主党は目標50%を掲げ、現状では比例51.6%、選挙区33.3%を擁立。日本維新の会も目標は掲げていないものの、現在3割程度擁立。国民民主党は、目標35%ながら現在4割の擁立を達成。そして、共産党も5割を掲げ、現在は比例66%、選挙区44%を擁立。れいわ新選組も目標を掲げず、現在は45%擁立。社民党は目標50%ですが、まだ擁立している女性候補はいません。

microverse株式会社 CEOの渋谷啓太さんは、そもそも「"擁立”というのが正しいのか」と疑問視。というのも、女性候補者を擁立する背景には「多様性を取り入れる、女性の意見を取り入れるという本当の文脈もあるのかもしれないが、(女性候補の擁立が)ある種、政党のイメージアップの手段になっている可能性もあるのではないか」と危惧。

また、各政党、地方から女性をリクルートし候補者を擁立している現状がありますが、「そもそも政治家は立候補制、言葉として正しいのかと思ってしまう部分がある」と言い、「本来あるべき姿は、本当に3割を目指すのであれば、なりたい人を増やす、ここをどうするかを考えるべき。女性が活動を続けるなかでの不平等をどう是正すべきなのか考えるべきで、議論の順番とロジックと問題点の作り方が全然違うのでは」と指摘します。

株式会社ゲムトレ代表の小幡和輝さんは茂木幹事長の「選挙区では現職が辞めないので議席がなかなか空かない」という言葉に対し、「本当にその通りだろうなと思う」と納得の様子。

先日、茂木幹事長との会合に参加した食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは、そのときのことを振り返り「女性候補者3割」発言について言及。

この発言は長内さん曰く、人種や性別、宗教などを基準に一定の比率で人数を割り当てる"クオータ制”導入の議論の文脈で出てきた言葉で、「『クオータ制のようなものもいいと思うが優秀な女性も多い。時代の流れ的にも自ずと3割に近づいてくるだろうと思う』みたいな話で3割という発言をしていた印象があった」と語り、「自ずとなるだろうでは遅いと思う」と吐露。

キャスターの堀潤は、参院に比べ衆院のほうが男性議員が多い現状に対し、「やはり衆院は決定権が強いから」とその背景を推察。そして、「決定権者のところにジェンダーバランスが悪い状況があるというのはなかなか困難」と案じます。

なお、街頭では「議員数は男女同じぐらいがいいと思う。男女関係なく責任感がある人が議員になるべき」(16歳 男性)、「産休や子どもができたときの対応が大変なので、女性議員は難しいのかなと」(24歳 女性)、「女性が進出しにくい世界なのであれば、それは変えるべきだと思うが、詳しくないのに入っていっても意味がない。その分野に詳しい人がいるべき」(22歳 女性)といった意見がありました。

◆女性議員を増やすための施策…Z議会からの提言は?

世界の女性議員の割合に関するランキングを見ると、1位がルワンダで61.3%。そして、G7のトップは33位のフランスで39.5%。日本はといえば162位で9.7%。G7の中でも最低となっています。ちなみに、1位のルワンダでは2003年にクオータ制を導入し、議席の30%を女性に割り当てています。

ここで小幡さんから「女性候補に投票しない理由は?」という意見が。「そもそも女性候補に投票されていない現状があるのかなと思う」と言います。例えば、前回の衆院選では約200人の女性候補者が出馬し、当選したのは50人程度。日本は民主主義で、それを決めたのは国民であり、「これが政治批判につながるのは良くない。政党は(女性候補者を)擁立しているわけだから、選んでいない僕らにも責任はある」と小幡さん。

他方、長内さんは「"女性だから”は男女ともに望んでない」と主張。LGBTや性自認、ダイバーシティなどが声高に叫ばれるなか、「女性だからといって選ぶのは今後、時代に合っていない未来が来るのではないかという若干の違和感がある」と言います。

そして、小幡さんの言う「女性候補に投票しない理由」について、「投票したい人がいれば当然するし、そういう方が増えていくときに障壁がないよう問題を解決していくことが大事」と語る一方で、「女性に投票する選択肢が少ないことが問題じゃないのかな」とも。

一方、渋谷さんは強制的に数を確保するという意味で、クオータ制は短期的な目線では大事とするものの、長期的には反対の姿勢を示します。なぜなら「本質的ではないから」。それこそ無闇に導入すると女性候補者が選挙に当選しやすくなるだけで、「あくまで本質は女性が政治進出したいときに、何が課題で、そこをいかに取り除き、機会平等にするためにどう環境を整えるか。その土壌作りを行うべき」と訴えます。

女性議員が増えないことについて専門家はどう考えているのか。名古屋大学法科学大学院の田村哲樹教授に話を聞いてみると「女性を議員・政治家にリクルートしてくる回路・通路がまだまだ弱い」と解説。さらには「現状ではまだ女性議員が少ないだけに、非常に特殊な存在として見られがち。女性議員であることがごく普通だという観点で政治・議会運営などやっていくことが大事」と指摘しています。

最後に、Z議会を代表して長内さんが「女性の"キャリア”サポート体制構築」と提言を発表。結婚や出産、子育てなどで政治に参加したくても断念せざるを得ない女性がまだまだ多いと案じ、「政治家をしながらでも結婚や子育てができるサポート体制を構築することが女性議員を増やすためには必要。そして、女性議員がサポートを受け、より働きやすくなれば、多くの企業でもそうなっていくと思う」と期待を寄せていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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