明治時代創業の老舗料亭が新業態…バルに 福井県越前市の「うおとめ」、気軽に懐石料理

料亭バルの営業を始める「うおとめ」のカウンター席=福井県越前市吾妻町

 福井県越前市吾妻町の老舗料亭「うおとめ」が、従来の宴会利用に加え、懐石料理を気軽に楽しんでもらう新業態「料亭バル」を導入し、6月21日から営業を始める。店舗改修により和モダンな空間に設けたカウンター席とテーブル席で、個人や少人数の来客をもてなす。

 うおとめは、明治20(1887)年に創業し、旧武生市に根付く料亭文化の一角を担ってきた。1994年建築の現店舗は1階に個室、2階に133畳の大広間を備え、結婚式や披露宴などで多くの市民らに利用されてきた。

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 新業態への挑戦は、新型コロナウイルス禍がきっかけ。団体利用の低迷により、売り上げは従来の3割程度に激減した。5代目代表で料理長の西本将和さん(49)、女将の久美子さん(49)は「個人のお客さんに直に接することで満足度を高めてもらおう」と決断。国の事業再構築補助金を活用し、厨房(ちゅうぼう)に隣接する事務所や応接間のスペースをバル営業用に改修した。

 壁紙に越前和紙を使った落ち着いた雰囲気の店内にカウンター14席、テーブルの14席を設けた。豊富な日本酒やワインと合わせ、旬の食材を使ったミニ懐石コースのほか、たたみいわしやフォアグラのみそ漬けなどアラカルト約20種のメニューを提供する。

 「これまで敷居が高いと思われていたお客さんも気軽に来てもらいたい」と久美子さん。ソムリエの知識も生かしてカウンター席では「料理やお酒についてのお話も楽しんでもらえるようにしたい」と話している。

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