参院選に向けて政治に対する関心を高めようと、福井県立勝山高校1年生が福井新聞と連携し、自分たちが重要と考える社会課題の解決策を「政策」としてまとめる探究学習に取り組んだ。タイムフリー党(柳橋紗音さん、髙野天希さん、笹木咲楽さん、岡本夏実さん、山内沙恵さん)が注目したテーマは「地方の公共交通」。ローカル線や路線バスに人工知能(AI)を使った自動運転を導入し、増便につなげられないかとアイデアを練った。
AIは信頼できる?
髙野 路線バスで登校しているけど、1本乗り遅れると遅刻確定。
柳橋、笹木 えちぜん鉄道は30分に1本。福井駅西口で友達と待ち合わせしてて、1本逃すと集合時間に遅れて迷惑かけちゃう。
柳橋 AIって身近になりつつあるけど、知らない人にとっては「公共交通に使うのは、まだ無理じゃない?」って存在。だから政策のアイデアとしては面白いと思った。
髙野 安全面を調べてみたら、千葉市でAIを使ったバスの自動運転の実証実験が成功して、信頼できるようになってる。
笹木 AIは良くも悪くもプログラムに忠実。朝夕の混雑時は人が運転して、ホームで乗り遅れそうな人をちょっと待ってあげるような融通を利かせた運行をする。すいてる時間帯はAIの運転でダイヤをしっかり守る。自動運転で人件費が削減できれば、増便できるかもしれない。
柳橋 鉄道のAI導入のほかに、複数の人で車を共有する案も出たよね。使いたいときはスマートフォンで事前予約する。
髙野 カーシェアは電車やバスがない地域でも有効だし、車が少なくなったら二酸化炭素の排出量削減にもなるし。
柳橋、髙野、笹木 自分だけの車がほしいとは特に思わない。それよりも自動運転の車が走って便利なまち、国になるって考える方がワクワクする。
もしも総理だったら…学生や高校生が本気で考えた政策
「えちぜん鉄道」の現状
新型コロナウイルスの流行が始まった2020年、県内の公共交通の利用者は、いずれも大きく落ち込んだ。県によると、えちぜん鉄道265万人(前年比97万4千人減)、福井鉄道福武線159万人(同39万8千人減)。県バス協会によると、路線バスの410万5600人は前年度比25%減で、21年度も流行前の水準には戻っていない。
利用者の落ち込みを受け、JR西日本は昨秋から小浜線、越美北線を約2割減便。4月には両線を含む利用者が少ない地方路線の収支を示した。17~19年度の平均で小浜線は約18億円、越美北線は約8億円の赤字だった。両線は、沿線住民のインフラとしてはもちろん、北陸新幹線敦賀開業後の2次交通としても期待される。JR西は現時点での存廃議論にはならないとしているが、県や沿線市町は“切り捨て”につながらないよう、くぎを刺した。
地方の公共交通の厳しい経営状況は全国的な課題で、国土交通省は今年2月に持続可能な地域交通の在り方を協議する有識者会議を立ち上げ、自民党内での検討も始まっている。
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勝山高の生徒たちの目線を通し、現代の若者が関心を持つ社会課題を紹介する。