ワクチン4回目接種で“重症化を予防” 接種券交付、長崎県内市町に違い

県内市町4回目接種の開始時期と方法

 新型コロナウイルスワクチンの4回目接種が5月下旬から可能になり、長崎県内でも多くの市町が体制を整えている。受けられるのは3回目から5カ月経過後で、7月から本格化する見込み。3回目までとの大きな違いは、60歳以上は全員が対象だが、18~59歳は基礎疾患などがある人に限られる点。このため接種券の交付は市町で対応が分かれている。専門家は4回目の目的を「重症化の予防」と説明する。
 長崎新聞社は7~15日、県内21市町の担当者に取材。17市町が6月下旬までに開始、または開始予定と答えた。個別や集団に加え、入院患者や施設入所者から始める自治体もある。
 4回目接種について長崎大学病院の森内浩幸教授は、先行して進めている海外の状況を踏まえ「重症化予防効果は期待できるが、(現在まん延している)オミクロン株に対する感染予防効果はせいぜい数十%。その効果が続く期間も2カ月程度とされている」と分析している。
 18~59歳への接種券の交付は市町によって違いがある。ほとんどの市町は59歳以下には申請がない限り接種券を送付しない。そのため基礎疾患などがあって重症化リスクが高い人は自ら市町の窓口や郵送などで申し込む必要がある。
 一方、長崎市は3回目接種から5カ月経過する18歳以上の市民に順次、接種券を発送する。担当者は「申請してもらう手間が省け、今後接種の対象が拡大した場合に迅速に対応できるメリットがある。ただ接種券が手元に届いても受けられない人もいるので、国には条件を周知してほしい」と要望を口にする。
 島原、平戸、西海、雲仙、南島原各市や東彼東彼杵町は3回目を受けた18~59歳に申請書や意向調査などの案内を送付し、対象者が申請しやすい体制を整える。森内教授は「リスクが高い人が受けやすくなり、いい取り組み。今後、対象が広がる可能性もある」と評価する。「対象になりそうな人は時期が来たら、かかりつけ医に相談してほしい」と話した。
 厚生労働省が示す18~59歳の接種基準によると、慢性の呼吸器、心臓、腎臓、肝臓の病気、糖尿病などのほか、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が30を超える肥満の人なども対象となっている。


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