カンスタの芝管理業務を評価次点企業に委託 審査基準の曖昧さ浮き彫りに…栃木県スポーツ協会

カンセキスタジアムとちぎ

 栃木県スポーツ協会が2020年、宇都宮市西川田4丁目のカンセキスタジアムとちぎ(県総合運動公園陸上競技場)の芝管理業務の委託先を公募した際、審査委員の合計評価が最高点だった都内の専門業者ではなく、次点の地元の一般企業を選んでいたことが19日、分かった。協会の規定には最高評価の企業を選定するなど具体的な記載はなかったが、審査基準の曖昧さが浮き彫りとなった。下野新聞社の取材に対し、荒川高志(あらかわたかし)事務局長は「(審査過程の)透明性が万全ではなかったのはこちらの落ち度で問題があった」としている。

 同スタジアムは今秋開催の「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」のメイン会場として県が宇都宮市内に整備。協会によると、県のマニュアルで業務委託先は「評価点が最高の者」と記載されている認識はあったが、県のマニュアルが協会を拘束するものではないとしている。

 審査は3人の委員により20年3月、企画提案内容を評価する「プロポーザル方式」で実施。協会の理事長(当時)が委員長を務め、県教育委員会スポーツ振興課長(同)と県サッカー協会関係者が参加し、県内の業者2社と都内の業者1社の計3社についてこれまでの実績、技術、費用などを採点した。

 その結果、都内の芝管理企業が257点で、次点の宇都宮市の警備会社が223点。警備会社は総合得点で下回ったが、委員3人中2人が個人得点で最高点をつけた。

 取材に対し、県スポーツ協会は「委員ごとの採点で2人が警備会社を最高にしたため、委員間で意見調整をした」と説明。だが委員の1人は「合計点が示された後に『点数では決めない』とされ、納得できず退席した」と話した。委託費上限は1年当たり約2千万円で3年契約。

 関係者によると、審査委員会は本来6~7人で発足予定だった。しかし、関係者との協議が進まず、短期間で業務委託先を選ばざる得ない状況になったという。委員の1人は「最高点で企業を選定するのが一般的。ただ、急ピッチで進めたためマニュアルも明確にならないまま審査が始まってしまった」としている。

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