「DXで真庭元気に」と会社設立 国立大名誉教授ら、勝山高で指導

勝山高で「情報1」の授業を行う原口さん(右から2人目)=9日

 デジタル技術で社会を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)に精通した国立大の名誉教授らが、株式会社「まちと学びのイノベーション研究所」を真庭市内に設立した。企業理念は「持続可能な地域づくりへの貢献」。人工知能(AI)やビッグデータの活用による地場企業の事業効率化だけでなく、世界的に不足するIT人材の育成に向け、地元高校生への情報教育を担っている。

 社長は名古屋大名誉教授の加賀山茂さん(74)=法情報学=で、取締役は元大学職員の岡野智博さん(59)。顧問は北海道大名誉教授の原口誠さん(68)=情報学。ICT(情報通信技術)や財務などの専門家5人をアドバイザーに、昨年11月から同市久世の事務所で活動する。

 企業理念の実現に向け、力を入れるのが情報教育だ。本年度からプログラミングなどを学ぶ「情報1」が高校で必修化されたことを受け、今春から勝山高(同市勝山)で学びをサポートしている。

 原口さんが非常勤講師として週に3日、学校に足を運び、担当教員と共に「情報1」の授業を行う。生徒の学力の変化をデータ化し、最適なカリキュラムを教員に提案するほか、コンピューター部も指導する。「将来、真庭でIT事業を行う人が増えれば」と原口さんは期待する。

 地場企業の支援では、人の手で行うスマートフォン部品の検品作業を自動化するシステムの構築といった業務を市内3社から受注。デジタル庁が地方自治体の基幹業務に関わるシステムの統一化を進めていることを受け、ニーズが高まる自治体職員向けのDX研修会も請け負っており、近く真庭市で開く。

 「バイオマス発電やバイオ液肥など、先進的な取り組みが多い」(岡野さん)ことから真庭を拠点に定めた3人。当面は市内での事業活動に力を注ぐが、将来はエリアを岡山県北全域に広げるつもりだ。

 加賀山さんは「まずはDXで真庭を元気にし、地方創生のモデルケースとなれるよう力を尽くしたい」と話している。

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