販売事業が合併後初の黒字 JA紀南、梅の好調が寄与

本年度の事業計画案などを可決したJA紀南総代会(和歌山県田辺市新屋敷町で)

 JA紀南の第19回通常総代会が18日、和歌山県田辺市新屋敷町の紀南文化会館であり、2021年度の販売事業が、03年のJA合併以来、初めて黒字となったと報告された。19年度からの販売手数料の引き上げに加え、梅などの販売高が増えたことが主な理由という。

 事業報告によると、21年度の販売高は81億4千万円(前年度比125%)で、合併以来3番目に高かった。梅の販売高は、作柄や需要と供給のバランスが良かったことから、前年度から14億円近く増え、合併以来最高の販売額47億8千万円となり、1億1400万円の黒字を計上した。

 一方、梅やかんきつの選果機が老朽化していることから、今後の更新にかかる出荷者の償却負担の軽減を図るため、剰余金を活用して、新たに梅やかんきつの「選果機等出荷者償却準備積立金」などを設けることにした。

 総会では本年度の事業計画をはじめ計10議案を可決した。事業計画には、加工部門で、梅酢ポリフェノール(抗ウイルス作用)の効能を活用した製品の販路拡大に取り組むことなどを盛り込んだ。

■中家会長は退任

 JA紀南の中家徹会長は、同日の総代会で同JA会長を退任した。それに伴い、県農業協同組合中央会の会長も退任する。現在務めている全国農業協同組合中央会(JA全中)の会長は、来年8月の任期まで務めるという。

 中家会長はあいさつで「新型コロナやロシアのウクライナ侵攻の影響から、特にエネルギーや食料供給が不安定となり、食料安全保障の気運が一気に高まり、農業にとっては追い風。一方で、肥料をはじめ生産資材の高騰が課題で、政策支援など対策の必要がある」と述べた。また県内JAを一つにする合併について、24年度中の実現を目指して協議を進めていくとした。

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