新出生前診断 県内でも開始へ 大分

 続いてお伝えするのは新出生前診断についてです。そもそも「新出生前診断」とは、妊婦の血液からダウン症などの原因になる3種類の染色体異常があるかどうかを調べる検査のことです。NIPTとも言われています。県内には、この検査を請け負う日本医学会から認定された施設がありませんでした。しかし、日本医学会が作った運営委員会が新たな認証制度をはじめ、今月、こちらの県内3つの医療機関を「基幹施設」として認定しました。基幹施設ができたことでどう変わるのか、県内の妊婦にとってどんなメリットがあるのか、詳しい話を聞いてきました。

 大分大学医学部産婦人科 甲斐健太郎 医師
 「自分の子どもがどういう情報を持ってて、どういう風に生まれてきて、健康で健やかに育つんだろうかというそこの不安がメイン。今までは検査をする機会が大分県の妊婦さんはなかった、知る権利がなかった、そこが問題」

 取材に応じてくれたのは、大分大学医学部産婦人科の甲斐健太郎医師です。身近に認定施設があることで県内の妊婦が検査を受けやすくなると期待しています。こちらは実際に行われる検査の流れです。今回認定された基幹施設で採血をして、同じく認定を受けた検査施設に持ち込みます。「陽性」の診断を受けた場合は、確定診断に進みます。その上で染色体の異常が確認されたときは、基幹施設にいる専門医が詳しい説明をしサポートしてくれます。妊娠9週から10週以降に受けることができるこの検査。妊婦にとって安全性が高いことに加え、こんなメリットがあるそうです。

 大分大学医学部産婦人科 甲斐健太郎 医師
 「検査で問題なければ大丈夫だよという確率が非常に高い。確定する検査ではないんですけれども、大丈夫だよと言ってあげるには十分な検査のクオリティがある」

 その一方で、懸念されていることもあるといいます。

 大分大学医学部産婦人科 甲斐健太郎 医師
 「(学会では)優生思想に基づいた障がい者差別につながるのではないかという懸念もある」】

 大分大学医学部附属病院では、詳しい検査開始日程は決まっていないそうですが、今後、講習を受け、検査会社と契約を結ぶなどして準備を進めていきます。

© 大分朝日放送株式会社