ときめき夢テント・木下大サーカス岡山公演(4)オートバイショー 目離せぬ旋回や宙返り

爆音を響かせ球体の中を疾走するライダーたち。底に立つ補助員も見ながら位置を把握している

 爆音が赤テント内の空気を震わせる。直径約7メートルの鉄製の球体内で繰り広げられるオートバイショーは片時も目が離せない。

 球体内を1列で走っていた3台のうち2台が地面と水平に旋回、1台が垂直の宙返り走行を始める。最高速度は約50キロ。互いが衝突しかねないぎりぎりのタイミングで交差し、十字を描くように走る。かつては2台で行っていたショーだが、十数年前から3台にして、より迫力が増したという。

 このショーは3人の運転技術とチームワークがポイントだ。速度と互いの距離を一定に保たねばならないが、オートバイは軽量化のため速度計が取り外されており、自らの感覚が頼り。他のメンバーの動きを視界に捉えつつ、球体の底に立つ補助員を目印にして自分の位置を把握するという。

 日々のコンディションにも細心の注意を払う。湿度が高い雨の日はタイヤに滑り止めを施す。エンジンのかかり具合も日によって微妙に違うのでアクセルを手でひねる強さも変える。

 そうした微妙な調整が1人でも狂うと事故になりかねない。わずか3分の演技だが、ライダーの高原謙慈さん(45)は「終わるといつも息が切れて苦しい」と説明する。

 このショーに至るまでの道のりは険しい。バランス感覚を養うために自転車で練習を始めるが、タイヤが滑る怖さから足元ばかりに目がいって乗り物酔いのようになる。高原さんもいつももどしていたといい、デビューまで半年かかった。

 「今は自分の体の一部のようにオートバイを運転できる」と胸を張る高原さん。「しびれるような興奮を楽しんで」とアピールする。

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 「木下大サーカス岡山公演」(山陽新聞社主催)は26日~9月7日、岡山市北区北長瀬表町の岡山ドーム東隣特設会場で開かれる。前売り券は大人3千円(当日券3500円)、3歳~高校生2千円(同2500円)など。問い合わせは木下大サーカス岡山公演事務局(086―241―0045)。

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