目指すは明日海りおさん…演じる楽しさを胸に奮闘中 福井劇の会女優、藤井友菜さん

「見る人に感動を与え達成感に浸れる職業」と話し、稽古を繰り返す藤井友菜さん=福井県福井市松本4丁目

 「役者っていいですよね。何にでもなれるんですから」。自分より一回り年下の小学2年生役を演じきった福井劇の会女優、藤井友菜さん(20)=福井県越前市=が顔をほてらせ、汗をぬぐった。出演者と物語を完成させた喜びを分かち合い「見る人に感動を与え達成感に浸れる職業なんですよ」。やりがいを語る言葉に誇りがにじむ。

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 俳優業は華やかで魅力的な一方、苦労も多い。セリフの暗記は、読み合わせの時に録音したCDを移動中の車で流し覚えるのが藤井さん流。「大好きな曲の歌詞を覚えるのと感覚は同じですよ」

 役作りは台本を何度も読み返し、イメージを深める。それでも演出家からダメ出しされると「すごくへこみますね」。今回の子役は、所属劇団にいる子どもたちを参考に挑戦、難役を勝ち取った。決してくじけない精神力も必要だ。

 今も鮮明に覚えているのは、高校2年のときに演じたお手伝いさん。戦時中に金持ちのお嬢様に仕える役回りだが、平成生まれの藤井さんには戦禍を生き抜いた経験がない。「身内が亡くなったと伝えるシーンなど、喜怒哀楽を表現する難しさを痛感しました」

 地元に子ども劇団があったことから「きれいなドレスを着て演技してみたい」と中学2年生で加入した。現在25名が所属し「役をつかむまでが大変。どんなキャスティングでも、腹を決めて演じきるしかない」と力を込める。

 目指す女優は元宝塚歌劇団花組のトップスター明日海りおさん。圧倒的な歌唱力と演技で観客を引き込み「とにかくかっこいいし畏れ多い人です」。今後も福井で活動を続け「いつか映画に出演してみたい。ちょっとは有名になりたいですね」。女優の矜持を胸にステージを駆け上る。

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