LGBTQが普通に堂々と過ごせる社会に 勝山高校生徒が必要だと思うこと

LGBTQへの理解促進を訴える「みんなスマイル党」=福井県立勝山高校

 福井県立勝山高校1年生が挙げた社会課題の一つは、LGBTQなど性的少数者への理解の低さ。みんなスマイル党(三屋凛佳さん、畑中凜さん、丸山恵実さん、笠松夕稀さん)は、性的少数者の存在や悩みが十分に知られていない現状を問題視し、当事者の声の発信強化を提案した。「知り合いに当事者がいる」というメンバーもおり、「性的少数者が普通に、堂々と過ごせる」社会の実現を訴える。

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LGBTQ当事者の声もっと聞こう

 丸山 知り合いから「自分は○○(LGBTQの一つ)なんだ」って、聞いた時は驚いたな。何となく恋バナ(恋愛話)してたら、秘密を明かしてくれた。「教えてくれてありがとう」って伝えた。

 笠松 私も当事者を知っている。「家族にも隠してる」って言ってた。

 畑中 私たちの世代はLGBTQという言葉をニュースとかSNSでよく見聞きしてるよね。そんなに遠い存在じゃない。

 三屋 私は、当事者だって公表してるユーチューバーを推してるし。

 丸山 今回、クラス全員に「LGBTQって知ってますか」とアンケートをしたらYESは7割いた。でもさ、実際に「周りにいたよ」って生徒はどれだけいるかな。

 三屋 みんな詳しくは知らないと思う。

 笠松 私が知っている当事者は「(LGBTQである)自分を良く思っていない」って言ってた。LGBTQということを隠したり、自分を否定したりするってことは、理解が進んでいないからじゃないかな。

 丸山 だから私たちは、当事者の声をもっと聴かないといけない。インタビュー動画をSNSにアップし、新聞でも取り上げてもらえるよう発信したい。高校生が取材したっていいよね。

 畑中 男性同士、女性同士が手をつないで歩いていても、自然に受け入れられる世の中になるといいな。

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LGBTQ権利保障の法整備、最下位に近い日本

 LGBTQは「11人に1人」-。電通が2020年に全国6万人を対象に行った調査で、自分は当事者だと答えた割合は8.9%に上った。一方で、社会的な偏見や差別は根強く、性的少数者の権利をどう守るかが問われている。

 性的少数者の権利保障に関する日本の法律整備の状況は、経済協力開発機構(OECD)の評価で加盟国35カ国のうち34位(21年末時点)と最下位に近い。

 例えば、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人が性別を変えようとした場合、日本では生殖能力をなくす手術が要件になっている。支援団体からは「(要件緩和が進む)世界的潮流から遅れている」と批判があり、県内のLGBTQの一人は「ここまでしないと日本は『心の性』を認めてくれない」と嘆く。

 性的少数者のカップルの関係を公的に証明する「同性パートナーシップ制度」は全国的に広がり、県内でも越前市が本年度内に制度化を目指す。ただ、この制度は相続権など結婚のメリットを法的に認めるものではない。約30の国・地域が容認する同性婚の法制化に向けた政府の動きは鈍い。

 今回の参院選で、LGBTQの権利擁護を巡る考えには各党のカラーが出そうだ。

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