潮風で劣化した三国祭の山車蔵…改修して伝統を未来へ 松ケ下区が支援募集、花火観覧席など返礼

老朽化が進んでいる松ケ下区の山車蔵=福井県坂井市三国町南本町3丁目

 北陸三大祭りの一つ、福井県坂井市三国町の「三国祭」で呼び物の山車(やま)巡行。2027年に山車当番が回ってくる松ケ下区が、人形山車を収納する蔵の改修を計画している。ただ住民の高齢化が進み費用が捻出できず、福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で資金を募っている。

 山車巡行は町旧市街地の32区が持ち回りで担い、3~8年に1度、回ってくる。山車蔵は16区に点在している。

 松ケ下区は旧森田銀行本店や三国湊町家館などが並ぶメイン通り沿いにあり、山車蔵は2003年に建築された。しかし、蔵正面に大きな建物がなく潮風を直接受けため、他の区の山車蔵に比べ経年劣化が進み、扉はさび付き、壁面にあしらわれている区の紋章は一部はがれ落ちている。

 同区は17戸中13戸が65歳以上の世帯で、高齢化率が高い区の一つ。山車蔵の改修には市補助金を差し引いても約260万円が必要という。区民だけの費用捻出は困難なため、区青年団長の齊藤幹郎さん(51)がCFでの調達を企画した。目標額は120万円。

 同区はこれまでもいろいろ三国祭の盛り上げを考えてきた。同区名物の軒先の「ざる飾り」を期間中は、山車蔵に一堂に展示したり、青年団がキッチンカーを呼んだりしている。今回のCF開始に当たり、三国祭の写真を山車蔵に週末に展示するなどしてアピールしていくという。

 齊藤さんは「高齢化や蔵の老朽化など同様の問題を抱えているほかの区のため、モデルケースになれば」と期待する。「伝統を残すために蔵は必要。未来の松ケ下に住む子どものためにも、区民一丸で盛り上げたい」と話している。

 クラウドファンディングは7月21日まで。3千円から10万円までの9コースあり、返礼は山車巡行の引き手体験や、三国花火を同区から見る観覧席などを用意する。

 【ミラカナ】福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でさまざまなプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして2018年に福井新聞社、福井銀行、レディーフォーが連携して始まった。21年からは福邦銀行も事業に参画した。累計支援額は1億3千万円、プロジェクトの達成率は93%(21年度末時点)。

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