ときめき夢テント・木下大サーカス岡山公演(5)アメリカンピエロ 会場和ませるコミカルな動き

逃げた魚とそれを追い掛ける店主の寸劇を観客席で繰り広げるワンダーフールさん(中央)ら

 空手着姿のピエロが板割りに失敗し、顔よりも大きく腫れ上がった手が現れる。コンセントにコードをつなげた瞬間、ビリビリという音とともに体を震わせ、ズボンがずれ落ちる。

 ハラハラドキドキのショーの合間に会場を和ませてくれるのがアメリカンピエロたちだ。1度の公演の中で5回登場。コミカルな動きで観客の緊張を緩め、また次のショーへとつなぐ。

 「笑いがあることで観客は舞台を身近に感じられる。私たちはステージと客席をつなぐ架け橋のような存在」。他のサーカス団体も含め約20年にわたりピエロ役を務める米国出身のジェシー・ワンダーフールさん(42)はそう語る。

 演技者と客席との一体感をつくり出すのがピエロの役割だが、新型コロナウイルスの感染拡大以降、観客とハイタッチができなくなるなど制約も生じている。

 その中で始めたのが、売り場から逃げた魚を店主が追い掛ける寸劇。魚役のワンダーフールさんが、店主役のピエロと共に観客席の通路などを駆け回ってドタバタ劇を繰り広げる。

 店主役が釣りざおを持って餌でおびき寄せ、それをつかんだ魚役と引っ張り合う。魚役がつんのめりながらも止まり、逆に店主役が捕まえ損ねて転びそうに。ユーモラスなやりとりを繰り返し、最後は…。楽しいオチがつき、大いに盛り上がる。

 すぐ近くでのピエロたちの演技に客席からは笑いが絶えない。「マスク越しでも笑顔が分かるくらい笑ってもらいたい」とワンダーフールさん。コロナ禍でも観客と触れ合えるショーを今も試行錯誤中だ。

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 「木下大サーカス岡山公演」(山陽新聞社主催)は26日~9月7日、岡山市北区北長瀬表町の岡山ドーム東隣特設会場で開かれる。前売り券は大人3千円(当日券3500円)、3歳~高校生2千円(同2500円)など。問い合わせは木下大サーカス岡山公演事務局(086―241―0045)。

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