【参院選2022×Z世代】ユーチューバー「ともかほ」 自分の「好き」を追い求める

自身の生い立ちやユーチューバーとしての価値観を語る「ともかほ」

 1995年以降に生まれたZ世代。幼少期からインターネットが身近にあったデジタルネーティブたちの価値観に迫るため、参院選公示を翌日に控えた21日、同世代から絶大な支持を集めるZ世代ユーチューバーを取材した。かほは26歳、ともやは24歳。

 かほ 動画を配信して、同世代の視聴者とつながって本当に楽しい。でもみんな「毎日つらい」「仕事がきつい」とか、「彼氏とうまくいっていなくて」とか、つらい中で生きているって気付きました。そんな人たちが「癒やされます」って言ってくれる。

 ともや 「こんな自分たちでいいの?」って思う。人間を見て癒やされるって、なかなかない。犬とか、動物なら分かるけど。

 ゆるく─。2019年1月に「ともかほちゃんねる」を開設、カップルの『同棲(どうせい)生活』を配信中だ。朝の身支度などの様子を配信する「モーニングルーティン」で人気に火が付いた。チャンネル登録者数は23万5千人、動画再生数は2億回超。主な視聴者は20代前半~30代後半で男女を問わない。

 かほ しゃべりたいことをとにかくしゃべって、自分をさらけ出して…。そうすると「ここ、面白かったです」って意外な部分を拾ってくれて。狙って話していないことが受けたりするんです。ボツにしようとした動画(の再生回数)がぐんと伸びたり…。

 新潟出身のともやと神奈川で生まれ育ったかほ。大学のサークルで出会って交際に発展し、その2年後にユーチューブ配信を始めた。正社員として働き始めて1年でかほは退社、ともやは公務員志望だったが、ユーチューバーになることを決意した。

 ともや 子どもの頃から親は自分のやりたいことをやらせてくれた。ユーチューバーは今しかできないことだし、憧れの仕事。自分が楽しいと思ったことを仕事にして生活したかった。大学まで行ってユーチューバーになることに対しては否定的なコメントも付きました。「もったいない」って。でも今しかできない。何より楽しいんです。

 かほ 自分たちの世代は好きなものがあれば「この部分がすごく好き」って、ピンポイントにはまっていく。

 チャンネル開設から3年半で約650本の動画を配信した。同居カップルならではの悩みやルームツアーに引っ越し、料理などの家事やファストフードの「爆食」などほのぼのした動画。かほが「好き」と感じるともやの何げないしぐさ、ともやから見たかほの包容力…。同世代を中心に「共感」の輪を広めている。日々の生活で抱いたもやもや、2人の間の「倦怠(けんたい)期」までも打ち明ける。

 交流サイト(SNS)を通じて共感の輪でつながるこの世代。「これが好き」と分かればどんどんはまっていく若者たちから「それ分かる」や「いいね」を引き出している。

 2人に政治のイメージを尋ねると、「政治は遠い世界。僕たちが関わろうとしても、届かない場所というイメージ」と、ともや。19年の参院選では投票したが、今回はまだ決めていないという。

 かほ 3年前に興味本位で2人で投票には行ってみました。SNSで芸能人やクリエーターが呼びかけていて。「私も今年行ってみる」ってコメントが付いていたんで、じゃあ私も行こうかなって。

 ともや 前日の夜に2人でめちゃめちゃ時間をかけて政策を調べたんですけど、投票はあっさり終わって、意味があったのかな?って。

 かほ 調べたのもブログ。候補者別に政策がまとめられていて。見やすさは大事だと思う。難しい表現を政治家は使うけど、かみ砕いた言葉じゃないと興味を持てない世代は多いと思う。

 動画配信は週4本。日々身を削って20万人の癒やしとなりながら、世代を代表するといった気負いはない2人。ほのぼのとした雰囲気で「好き」を追い求める姿に、Z世代の価値観が垣間見える。

 ◆ともかほ 新潟出身の心優しい青年ともや、神奈川出身ののんびり屋かほのカップルユーチューバー。2019年1月にユーチューブチャンネル「ともかほちゃんねる」を開設し、同居する2人の朝晩のルーティンや料理、旅行など日常生活を配信し、同世代を中心に根強い支持を集める。累計動画再生回数は2億回、チャンネル登録者は23万5千人。

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