福井梅、湖畔で栽培される「青いダイヤ」 6月は収穫期、活気づく福井県若狭町【若越画報】

次々と収穫される梅=福井県若狭町田井
交通の便が悪かった明治・大正時代、福井梅を載せた小舟が出ていたという船小屋=福井県若狭町の三方湖畔

 福井県若狭町が県内出荷量の約8割を占める福井梅。戦時中は重要軍需品として舞鶴海軍に納入されるなど重宝され、戦後は高収入をもたらす「青いダイヤ」と呼ばれた。代々受け継がれてきた“宝石”は今も住民に愛されている。

 江戸時代の天保年間(1830~44年)発祥とされ明治時代に栽培が本格化。三方湖畔に今も残る船小屋から、小船をこぎ荷車を押して港町敦賀に梅が運ばれていた。昭和中期に生産量千トンを超え、現在も600~千トンが栽培されている。

 同町成出の梅共同選果場から出荷されたものだけが福井梅と呼ばれ、いずれも県特有の4品種がある。主力の「紅映(べにさし)」はぽってり肉厚でうまみが強く大人気。皇室に献上されるほか、大相撲優勝力士に贈られる逸品だ。

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 6月は収穫や店頭販売などで若狭町が活気づく。2022年からJA福井県敦賀美方梅生産部会長を務める同町の山田豊さん(60)は「今年も高品質の実ができた。ぜひ味わってほしい」と誇らしげに話した。

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