フードロス削減の取り組み、店頭ポップでアピールを 勝山高校の生徒が提案

食品ロス削減に向け、ポップの活用を提案した福井県立勝山高校の生徒たち

 探究学習を通じ社会課題の解決策を考えた福井県立勝山高校の1年生は、食品が大量に捨てられている現状にも目を向けた。食品ロス削減党(西山朔太郎さん、中村澪さん、中瀬さくさん、岸本詩音さん)は、「私たち自身が関心を持てていなかった」との反省を出発点に、問題を多くの人に知ってもらうためにポップ(店頭広告)の活用を提案し、環境保全にも視野を広げた。

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環境守る姿勢は店にもメリット

 中村 日本で1年間に発生する食品ロスは約600万トン。国民全員が茶わん1杯分のご飯を毎日捨てている計算になるんだって。

 西山 すごく深刻。貧しい国に申し訳ないなって思うし、食品や容器を埋めたり燃やしたりして温室効果ガスが出るから、地球環境にも影響するらしい。

 中村、中瀬、岸本 私たちもたまにご飯を残してしまう…。でも、普段の生活で食品ロスを考える場面ってあんまりなくない?

 西山 どうすれば印象に残る発信ができるか。思いついたのが宣伝用の「ポップ」。値段や割引を示すポップは並べてあるけど、「食品ロスをしないで」と訴えるものはあまり見ないよね。

 中瀬 お店にもメリットがあるんじゃないかな。大人が考えている以上に、若い世代は環境問題に関心がある。資源を無駄にするお店より、環境をしっかり守るお店を選びたい。

 西山 人気アニメとコラボするとか、目を引くデザインになるともっと良い。

 岸本 環境といえば、大阪に出かけたとき、止めてある自転車のかごにごみが当たり前に捨てられていてショックだった。

 中村 私は地元の池ケ原湿原が頭に浮かんだ。小学生のころ、生きものの宝庫だと教わった。せっかく自然豊かな地域に住んでいるんだから、環境についてもっと考えたいね。

食品ロス減少傾向も貧困国支援量の1.2倍

 農林水産省が6月9日発表した2020年度の食品ロス推計値は前年度比48万トン減の522万トン。新型コロナウイルス感染拡大による飲食店などの利用減が影響し、推計を始めた12年度以降で最少となった。

 近年は緩やかな減少傾向にあるとはいえ、「東京ドーム4~5杯分」(同省)の膨大な量に変わりはない。消費者庁によると、飢餓に苦しむ国に向けた世界の食料支援の1.2倍に相当する。

 福井県内の食品ロスは18年度推計で3万1千トン。一般廃棄物の総量約26万トンの12%を占め、プラスチック類(9%)より多い。削減に向け、県が力を入れるのが「フードドライブ」。家庭や事業所で余った食品を福祉施設などに提供する取り組みだ。受け入れ先のリストなどをまとめたマニュアルを昨年度作り、各市町で活動が広がっているという。

 越前市の児童養護施設には、パチンコ店の組合やスポーツジム運営企業からフードドライブの食品が届く。「部屋がいっぱいになり、たくさんの子どもたちを笑顔にしてくれる」。政治や消費者にできることはまだまだありそうだ。

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