ロボデックス、水素燃料電池+キャパシタで水素燃料電池ドローン「Aigis One」を開発[Japan Drone 2022]

ロボデックスは、日本初の水素燃料電池専用のオリジナルモデルのドローン「Aigis One(アイギス・ワン)」を開発、Japan Drone 2022で展示している。

「Aigis One」は水素燃料電池をパワーソースにして飛行することができるオリジナルドローン。 対角寸法1528mm / 重量15kg、ペイロードは5kgで最大90分の飛行を可能にする。 6月16日に実施された初の飛行テストでは30分程度の飛行を安定的に複数回繰り返すことが確認された。

機体デザインはF117Aステルス戦闘機のような角ばったデザイン。機体下部にはカーボンファイバー製の荷物BOXを備える

水素燃料はTEIJINの複合材料容器(容量:4.7L)に充填され機体上部に装着、 ジェイテクトと共同開発したキャパシタ(補助電源装置)と組み合わせて機体に電源を供給する。 通常、水素を積載したドローンを飛行させることはできないが、2021年10月に「一般高圧ガス保安規則の適用(大臣特任)」を取得し飛行している。

また、発電自体は水素と空気を反応させて可能だが、水素燃料電池は一般的に発電出力が安定しており、突風時や加減速時により多くの電力を必要とするドローンには不向きな面もあるという。 そこで一時的に蓄電と放電を繰り返すことができるキャパシタを搭載することで、必要な電力を供給する仕組みを構築した。 キャパシタは、高耐熱リチウムイオンキャパシタを独自開発しているトヨタグループの大手機械・自動車部品製造会社のジェイテクトと共同開発した「Aigis One」専用のものだ。

機体の内部構造。タンクは機体上部に搭載し、タンク横のBOXがキャパシタ
水素燃料電池はかなり大きい
機体後部にはFPVカメラの映像伝送用アンテナがある。機体側面には排気口も
水素は空気と反応することで発電するため機体正面には給気口がある。当初はファンを搭載して強制的に空気を取り入れようとしたが、そこまでの必要がないことがわかり、現状は給気口のみの仕様となったそうだ

当面は物流分野で活用できる水素燃料電池ドローンの開発を目指し、今年10月には福島県浜通りの南相馬市〜浪江町の片道約15kmを飛行する実証実験を実施する。 日常的に物流分野で水素燃料電池ドローンが活用される状況を目指し、災害時に長距離飛行により支援物資をいろいろなところに届けられるような技術や人材、仕組みを作っていきたいという。

ただ、現状は水素の供給も一般のガス販売店などでは対応してもらうことが難しく、水素燃料電池ドローンの開発に興味をもってくれているガス販売店に協力してもらっている状況とのこと(ほぼオートメーション化された業務フローの中で、通常業務を一時停止して水素を充填することはガス販売店の負担になる)。 課題もたくさんあるとのことだが、ぜひとも応援したいプロジェクトだ。

▶︎株式会社ロボデックス

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