【参院選2022】政党政策アンケート:日本共産党

選挙ドットコムでは2022年6月22日公示、7月10日投票の第26回参議院議員通常選挙の全国比例へ候補者の擁立を予定している政党等に政策アンケートへの回答を依頼しました。
アンケートでは各政党等に対して共通の23問を用意し、各設問に対して賛成、やや賛成、中立、やや反対、反対を選択していただき、各設問への立場についてテキストで回答いただきました。

1新型コロナなどの感染拡大に対処するため、医療機関に対する国の権限を強化するべきだ

やや反対

国から医療機関への強制力を伴った要請を可能とする仕組みの導入には、慎重な検討がいると考える。医療機関がコロナなどの新興感染症に対処するには、日常的に余力のある人員・設備を確保することや、地域医療全体の連携体制を構築することが必要だ。政府は病床削減をやめ、診療報酬の増額、地域医療への財政支援、医療従事者の増員・待遇改善など、感染症有事の際に医療機関の協力を得られる体制の整備こそ優先するべきだ。

2消費税を10%から5%に減税するべきだ

賛成

生活必需品中心の物価高騰で、低所得世帯は消費税率を5%引き上げたのと同程度の負担増となっている。中小・零細事業者は、資材コストの上昇分を価格に転嫁しきれず、営業が脅かされている。この対策として消費税減税が最も効果的である。コロナ危機以降、世界の89ヵ国・地域で消費税の減税が実施されており、日本でも減税を実施すべきだ。あわせて、零細業者やフリーランスに新たな増税をおしつけるインボイス導入を中止する。

3物価高対策として、石油元売り会社に対する補助金や低所得者世帯への給付金を拡充すべきだ

賛成

ロシアのウクライナ侵攻の影響の長期化が懸念されるなかで、原油高対策の拡充・延長は必要であり、補助金とともにガソリン税のトリガー条項の発動も必要である。低所得者への給付金は、住民税非課税など一部に限定せず、より広く、困窮者全体を対象とすべきである。緊急小口資金等の返済猶予の要件緩和や、雇用調整助成金の特例等の期間延長、事業者向けの事業復活支援金、家賃支援給付金も再支給すべきである。

4憲法9条に自衛隊の存在を明記すべきだ

反対

ロシアによるウクライナ侵略を機に、〝憲法9条では日本を守れない〟とばかりに、憲法への自衛隊明記や緊急事態条項の創設を主張する人たちがいる。ウクライナ問題はロシアに直接的最大の責任があることは明白だが、同時に、その背景には、米欧による軍事対軍事の論理による外交の失敗があった。日本とアジアの平和と繁栄のためには、軍事一辺倒から脱却し、憲法9条にもとづく徹底した平和外交こそが必要である。

5日本は、敵のミサイル発射基地などを攻撃する能力を保有するべきだ

反対

敵基地攻撃能力の保有は憲法9条を踏みにじるもの。「平生から他国を攻撃する、脅威を与えるような兵器を持っていることは、憲法の趣旨とするところではない」という政府の憲法解釈を覆し、専守防衛をも放棄するもので認められない。安保法制のもとでは、日本が武力攻撃を受けていなくても米軍が軍事行動をはじめたら日米が一体となって相手国に攻め込むものになるため、大規模な報復を呼び全面戦争になりかねない危険がある。

6日本は、防弾チョッキやヘルメットなどの防衛装備品の提供や資金援助をウクライナに対してさらに行うべきだ

反対

医療や避難民支援など非軍事の支援で積極的に役割を果たすべき。日本は憲法の平和主義に立脚する国是として紛争当事国だけでなく、そのおそれの国に対しても武器輸出を全面禁止してきた。2014年にこれを撤廃し「防衛装備移転三原則」を決定してからも、「国際協力や我が国の安全保障に資する場合に限定し特例はみとめない」としてきた。ウクライナへの装備品提供はこれに反して運用指針を改定して行ったもので、認められない。

7公的年金の支給開始年齢を70歳に引き上げるべきだ

反対

この間、年金の支給水準を切り下げたり、支給開始年齢を遅らせる改変が行われるたびに、国民の将来不安は増大し、制度不信が高まってきた。高齢者も現役世代も、信頼できる制度にするため、年金削減を中止し、支給水準の引き上げと低年金の底上げを図るべきだ。年金財政を安定的に支える財源を確保するため、高額所得者優遇の保険料の見直し、巨額の積立金の計画的活用、現役世代の賃上げ・正社員化などの改革に取り組む。

8高等教育を無償化にするべきだ

賛成

国際人権規約が定めた高校・大学の段階的無償化条項が、国民世論と運動におされて留保撤回されました(2012年)。これは高等教育無償化を国際的に約束したものだ。無償化にむけた学費負担軽減の第一歩として、大学予算を増やして、入学金を廃止し、大学・専門学校の授業料をすみやかに半額にする。将来的に無償化をはかり、誰もがお金の心配なく学べるようにする。

9原子力発電所の再稼働を進めるべきだ

反対

福島第一原発事故が明らかにしたように、原発は、万が一でも重大事故を起こせば地球環境も地域社会にも深刻な事態を招く。そのようなリスクを抱えた原発の再稼働、新増設・リプレースには反対だ。法律上の原則40年という運転期間の設定も、既設原発が40年運転を想定し建設された事実を踏まえたものであり、再稼働のために延長などすべきではない。電力の安定供給のためには、省エネ・再エネの促進こそ求められる。

10同性婚を法律で認めるべきだ 

賛成

同性婚を求める訴訟で、昨年、札幌地裁は、「法律的に同性同士が結婚できないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」との画期的な判決を下した。誰と結婚するかは、極めて個人の尊厳に属することであり、同性カップルも多数者である異性カップルと同等の権利が保障されるべきだ。他者の権利侵害は一切ない。早期に制度を整えることは政治の責務であり、同性婚を認める民法改正をすべきだ。

11大規模な金融緩和を継続すべきですか?

反対

アベノミクスのもとで進められた「異次元金融緩和」は、超低金利と円安・株高をもたらし、輸出や海外生産中心の大企業と大株主などの富裕層には多くの恩恵を与えたが、日銀が供給した資金は多くの国民には回らず、賃金も上がらず、格差が拡大した。急激な物価上昇で暮らしと営業を圧迫しているにもかかわらず、日銀は「通貨の番人」としての本来の役割を投げ捨てて金融緩和に固執し、いっそうの円安と物価高騰を招いている。

12国土強靭化など大規模な公共事業を継続すべきですか?

反対

予想される大規模地震や、近年増加している大雨被害などに備えるための防災対策は重要である。ただ、スーパー堤防やダム建設などの大規模公共事業を中心とした対策は、費用対効果の面からも、環境破壊や住民の合意なしに進められる点など、問題が大きい。老朽化した橋やトンネルなどの補修、流域治水や避難などのソフト面も合わせて、大規模公共事業だけに偏らない対策を進めるべきである。

13日米安全保障条約に基づく日米同盟を維持すべきですか?

反対

憲法9条を真っ向から踏みにじる敵基地攻撃能力の保有の検討をはじめ、日本の異常なアメリカいいなりの政治の根底には日米軍事同盟がある。日本共産党は、国民多数の合意にもとづいて日米安保条約を廃棄して、対等・平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶことをめざす。

14防衛費を対GDP比で2%まで増額すべきですか? 

反対

軍事費を5年以内にGDP比2%以上、現在の2倍となる年間11兆円以上にすれば、日本は世界第3位軍事大国になってしまう。このような大軍拡をやろうとするなら、消費税の大増税か、社会保障や教育などの予算の大削減をもたらすことは火を見るより明らかだ。国民のくらしをおしつぶすものであり、許されない。

152025年度のプライマリーバランス黒字化目標を堅持すべきですか?

反対

コロナ危機と物価高騰が暮らしと営業を脅かしているなかで財政が果たすべき役割は大きく、プライマリーバランス黒字化にこだわって暮らしの予算を削減するべきではない。そもそも財政は収入・支出の中身が大事であり、収支の結果だけで見るべきではない。中長期的には財政の健全化は必要だが、それは消費税増税や社会保障削減ではなく、大企業や富裕層に応分の負担を求め、歳出の無駄をなくすことで実現すべきである。

16最低賃金を時給1500円まで引き上げるべきですか?

賛成

岸田首相は「世界各国に比べれば物価上昇率は低い」というが、それでも暮らしが大変なのは賃金が上がらないからである。欧米では物価上昇の中で最低賃金を上げ、イギリス1520円、ドイツ1683円、フランス1521円などとなっており、アメリカでも1950円への引上げが提案されている。欧米並みの1500円にするため、大企業の内部留保への課税により5年間で10兆円の財源を確保し、中小企業の最賃引上げを支援する。

17選択的夫婦別姓を認めるべきですか?

賛成

夫婦同姓を法律で強制しているのは世界でも日本だけ。その下で婚姻改姓しているのは96%が女性。氏名は個人の人格権の一部であり、望まぬ改姓をしなくてもよいように個人の選択権を広げるのは政治の責務だ。同姓を望む人々は同姓のまま変わらず、権利侵害は一切ない。選択的夫婦別姓制度を速やかに実現すべき。

18物価高騰を受けてガソリン税を一時的に引き下げるべきですか?

賛成

ガソリン価格の高騰は、公共交通の少ない地方の居住者や、事業の上で運送コストの上昇に悩まされる業者にとって、深刻な問題である。気候変動対策の上では、電気自動車などへの転換が必要であり、ガソリン税をむやみに引き下げるべきではないが、今日の価格高騰のもとではガソリン税の引き下げは必要である。

19出産費用を無償化すべきですか?

賛成

出産育児一時金として現在42万円が支給されているが、実際の出産費用はその額を上回り、多額の負担がかかるのが実態だ。安心して出産できるように、出産育児一時金の大幅な増額、保険適用の検討も含め、出産費用の無償化をすすめる。合わせて妊婦検診の負担軽減、フィンランドの子育て支援「ネウボラ」に学んで育児用品を贈る制度の導入などで、妊娠から出産、子育てまでの経済的負担軽減、切れ目のない支援を実現する。

20高齢世代の医療費の自己負担割合を現役世代と同水準にすべきですか?

反対

病気にかかりやすく治療に時間がかかる高齢者は、現行の負担割合のもとでも、年収比で若年世代の4~6倍の医療費を負担している。窓口負担のさらなる引き上げは、世代間の負担の不公平を拡大するだけだ。欧州諸国やカナダでは、公的医療制度の窓口負担は無料か少額の定額制であり、かかった医療費の1~3割という日本の患者負担の在り方は異常だ。子どもも高齢者も現役世代も、医療費の負担の軽減が必要だと考える。

212050年のカーボンニュートラル実現に向けて、炭素税を導入すべきですか?

賛成

炭素税による省エネ・再エネの選択促進、化石燃料使用の抑制に有効だ。炭素税課税の国際比較では日本は低額で、とくに石炭が低くなっている。ただし現在の燃料高騰は省エネや化石燃料の使用抑制に働いている状況なので、今後、議論して、燃料課税の全体をCO2排出量と関連付けて見直すべきだ。炭素税は、脱炭素が完了するまでの一時的な財源なので、脱炭素に必要な公的な事業、支援策の財源として検討すべきだ。

22企業・団体献金を禁止すべきですか?

賛成

企業献金について、財界人は「利益誘導的性格」があるとのべ、「見返りを期待する」と認めてきた。本来、政治は参政権をもつ国民一人ひとりの意思と参加によって担われるべきものであり、企業・団体献金によって一部の企業や団体のためにゆがめられることがあってはならない。1995年に政党助成制度が導入される際、いったん各党が企業・団体献金の禁止に合意していた。それがわずか数年で反故にされたのは、国民への背信行為である。

23選挙においてインターネット投票を可能とすべきですか?

やや賛成

インターネット環境があまねく普及し、国民生活にとって不可欠となっているもとで、その機能を投票にも活用することは時代の趨勢であると考える。ただし、実現するためには、①個人の投票の自由が確実に保障されること、②システムの安定性が確保され投票結果の信頼性が担保されること――の2点が不可欠である。

政党アンケート対象:自由民主党立憲民主党公明党日本共産党日本維新の会国民民主党れいわ新選組社会民主党NHK党参政党幸福実現党維新政党・新風新党くにもり日本第一党、ごぼうの党(未回答)

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