復帰直後の沖縄〈50年前きょうの1面〉6月23日「県知事選、都市地区に総攻撃へ」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。
 

 日本「復帰」直後の1972年6月23日の琉球新報1面トップは、「都市地区に総攻撃へ/両陣営とも最大動員/県知事・県議選大詰め」との見出しで、沖縄県知事選・県議選の3日攻防に入ったことを伝えている。「22日から切って落とされた〝3日戦争〟で、大田、屋良両陣営は組織力を駆使してラストスパートに突進、22日は大田候補が中部、屋良候補が那覇でそれぞれ精力的に遊説を行った」と印している。
 知事選・県議選に向けては、中央からも自民、革新両側から応援が入り、「基地つき復帰/選挙で不承認意思を/来沖の成田委員長語る/自衛隊派兵許すな」との見出しで、社会党の成田委員長の来沖を紹介。自民側は「自民、竹下官房長官を派遣/選挙戦に最後のテコ入れ」と官房長官の沖縄入りを伝えている。
 この日の「選挙レーダー」は「目を皿にしてスキをうかがう…」との見出しで、最終盤の両陣営の動向を報じている。中央からの支援合戦を紹介し「自民党が内閣の大番頭・竹下官房長官、革新側が都知事選で日本の選挙史上かつてなかった票数を得た美濃部東京都知事をくり出す。いずれ劣らぬ当代の人気者だけに各地で大もてになろうが、案外、双方のウルトラC作戦はこの両人の支援にあるのではないだろうか」との見通しを示している。
 復帰後の沖縄の米軍基地の整理縮小について、公明党議員から出された質問書に対する政府の答弁を紹介する記事も掲載している。「開発と調和し縮小/政府、『沖縄基地』で答弁書」との見出しで、答弁書の内容について「今後の沖縄県の開発計画の推進、民生安定の確保との関連をも踏まえ、かつ、日米安保条約の目的の達成との調整を図りつつ、米軍施設、区域の整理統合につき米側との話し合いを進める考えだ」と詳述している。
 
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 5月15日で復帰を迎えたが、沖縄を取り巻く状況は復帰して変わったこともあれば、変わっていないこともあった。琉球新報デジタルは、復帰を迎えた沖縄のその後の姿を琉球新報の紙面でどう記したか、引き続きお届けしていきます。  

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