映画「TANG タング」× ミュージカル『ロボット・イン・ ザ・ガーデン』取材会レポ

映画「TANG タング」と劇団四季オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ ザ・ガーデン』のコラボレーション企画として、映画監督三木孝浩と演出家小山ゆうな特別合同取材会が行われた。
映画とミュージカル、どちらも原作は英国の作家デボラ・インストールが2015年に出版した小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」(日本では 2016 年小学館文庫刊、松原葉子訳)で す。アンドロイドが人間に代わって家事や仕事を行う近未来を舞台に、心に傷を抱えた主人公 と壊れかけのロボット・タングの成長と絆の物語が描かれている。
8月11日公開予定の映画「TANG タング」は、冒険ファンタジーの超大作。監督・三木孝浩、主演・二宮和也により、原作に日本版のアレンジが加えられ実写化。ミュージカルは現在、全国公演中。
一方、小山ゆうな演出の劇団四季のオリジナルミュージカル『ロボッ ト・イン・ザ・ガーデン』は 2020年10月、自由劇場にて初演。東京初演に続き、福岡、東京再演、京都と各地で上演を重ね、現在は計63都市を巡る全国ツアー公演を実施中。
今回の特別合同取材会では、三木孝浩、小山ゆうなが登壇、原作を同じくする二作だからこそ実現した、異色のコラボレーション取材会となった。

実は学生時代、同じサークルの所属だったそうで、会うなり、「25年ぶり!」「こんな偶然!」と話し出す2人、まさかのご縁で同じ原作を映画、ミュージカルと手掛けた偶然、奇遇。三木孝浩は映画化するに当たって「キャラクターを日本人にしなければならなかった」と言う。劇団四季での上演は「知っていた」、と言い、「ミュージカルにした作品はどうデフォルメされているのか参考にさせていただこうと。素敵な舞台で、タングの動かし方はすごく参考になりました、首が長く伸びるところは使わせてもらいました(笑)。タングを2人で動かしているのが意味がある、タングが引き立つ、意識しないで観れるのが面白いなと」と語った。小山ゆうなは「三木さんが撮っているという事で観た『僕等がいた』(2012)以降監督の映画が好きになり追っていたので『タング』はドキドキしながら観まして、引き込まれて『同じ原作なのに違う作品』映像ならではのタングの目が光るとか、すごいなーと思って観てました」と映画の感想を。三木孝浩は「ロボットのキャラクターと主人公の友情、日本人的には違和感なく受け入れられて、そして日本人ならではのシンパシーでスッと入っていけるように。成長物語でタングは狂言回し的な存在、いろんなところに旅をするけど、人と人との関係に集中しています」

また、MCより「苦労したところは?」と聞かれて小山ゆうなは「苦労はなかったです。ミュージカルなので歌…歌は自分の隠された気持ちを吐露する、でもタングは隠されているものはなくって、結果、あまり歌っていないので、周りの人たちが歌っている、でもタングが歌うとドキッとするので、どのタイミングかな?とは考えました」とコメント。三木孝浩は「タングはCG。『(そこに)いるであろう』という想像で撮っています。音は事前録音したものを出しました。ただ、タングについての共通のイメージを、揃えるのが大変でした。アニメと同じように全カット絵コンテを作成しました。いないところにリアクションするので…」とCGならではの苦労。また「大きさは結構悩みました」と映像ならではのサイズ感を考えてのサイズ。小山ゆうなは「人とのバランス、切り抜いたものを劇場で並べて検証、まず、客席からちゃんと見えるかどうかっていうところですね」と語る。舞台にしても映画にしてもタングの”身長”は悩みどころだった様子。
三木孝浩は「映画だとクローズアップできるので…タングの感情をどこまで見せるのか、能ではありませんが、観客が想像する楽しみがある、出さなさすぎても可愛くない(笑)、感情が動く時、何が動くのか…」と語る。さらに三木孝浩は「並んで歩くときのイメージは6〜7歳の男の子」と言い小山ゆうなは「3〜4歳の子供をイメージ」。

また舞台を観て映画に活かしたいと思ったところについて三木孝浩は「東京のシーンですね。舞台は海外の人から見た東京のデフォルメされた世界観がいいなと。リアルな東京の空気感ではなく、日本版だけど、ちょっとアメリカンな、レトロな、そういう世界観でデフォルメできないかなと思ってて…そのデフォルメの仕方は参考にさせてもらいました」といい、そこで小山ゆうなは「映像でしか表現できない部分は大きい、コーヒーが無くなっちゃってっていうところは映画でしか表現できない、2人の関係性がよくわかるシーンでした」と言い「最後の直すところはドキドキする」とコメント。また、この作品に小手伸也が出演しているが…ここは映画を観てのお楽しみ。また、タングと主人公はいろんなところを旅するのだが、この場所が原作とは異なる。
三木孝浩は「夫婦関係は日本の観客が観て違和感ないようにしました。また旅する場所ですが、その場所、というよりもタングと主人公の関係の変化にフォーカスしました、あとは素敵なところを宮古島にしよう、とか主人公は傷ついていたのが、タングと出会って一歩踏み出せる、一歩前に進めるように」と語る。

また、おすすめシーンは?と MCから聞かれ、三木孝浩は「いろんな場所で変な人が出てくるのですが、みんな癖があるので、そのやりとり、キャラクターが彩り豊かなので」と語り、小山ゆうなは「一人の人がいろんな役をやってるので、どこを見るかは自由ですね」とコメント。
キャスティングについては三木孝浩は「ファンタジーだからこそ演技力が問われる、CGキャラを相手に芝居をしなければならないので、技量が問われます。主演の二宮さんが『タングを写し鏡にして自分の芝居を見つめ直すきっかけになれば』と言ってたのですが、まさに自分を見つめなおす物語です」と言い、小山ゆうなは「ベン役の田邊さんですが、別の方のオーディションを待ってる時にまだその頃は紙をくしゃくしゃにしただけのタングに模したパペットを動かしていたのですがそのタングを見る田邊さんがニコニコしていらして、あたたかくて『この人、ベンだ!』って(笑)」。
また同じサークルだったと言うことで、「厳しくなかったので居心地よかった、好き勝手にやってあまり干渉しない、楽しくやってればいい」と三木孝浩がいえば、小山ゆうなは「酔っ払ってる記憶しかない(爆)、三木さんは話せる人っていう安心感はあった」と語る。
ここで版元の小学館の担当からタングの魅力についての質問が出た。
三木孝浩は「何もできないところ。だから愛おしい、ただそばにいてくれる、我々は時として人間じゃない、犬とか猫に話しかけたりするけど、それは自分との対話。タングを見つめることによって自分を見つめること」

小山ゆうなは「タングは、できることが少なく時間がかかる。でも、この子の目線で世の中をみるとどうなんだろうと思うと色々気付かされる。この世界へようこそ!というセリフには毎回、感動します。タングには世界が素敵にみえてるんだなと」
最後にファンに向けて
三木孝浩「このスピードに合わせないと見えてこないものがある」
小山ゆうな「舞台観て、映画を観てくださるとすごい、嬉しいです」
ここで時間となり、濃密な会見は終了した。

概要
[映画]
「TANG タング」
2022年8月11日公開予定
監督:三木孝浩
出演:二宮和也 満島ひかり 他

公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/tang-movie/
[舞台]
劇団四季オリジナルミュージカル『ロボット・イン・ ザ・ガーデン』

公式HP:https://www.shiki.jp/

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