心神耗弱の夫に懲役7年、県庁前で妻刺殺 精神障害の影響を受けた殺人、弁護側は無罪を主張していた

さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県さいたま市浦和区で2020年3月、妻を刺殺したとして殺人と銃刀法違反の罪に問われた、住居不定無職で元文教大准教授、浅野正被告(53)の裁判員裁判の判決公判が22日、さいたま地裁で開かれ、小池健治裁判長は懲役7年(求刑・懲役10年)を言い渡した。

 判決理由で小池裁判長は、犯行時、浅野被告は「妄想性障害の強い影響を受けながらも自らの規範的思考による抑制力が一定程度残された状態で自己の判断による犯行」とし、心神耗弱の状態と判断した。

 一方で、被告人は妄想に由来する恐怖症が怒りに変わり犯行に及んだと説明。「妄想性障害などが犯行に与えた影響は相当大きい」と述べた。また、確実に殺そうという意図で危険なものとしつつ、「精神障害の影響を受けた殺人事案の中で、殊更に悪質な態様とは言えない」とした。

 弁護側は、妄想性障害の圧倒的な影響があり心身喪失として無罪を主張していた。

 判決によると、20年3月16日午後6時ごろ、さいたま市浦和区の県庁前の歩道でさいたま少年鑑別所職員だった妻=当時(53)=を待ち伏せ、自転車に乗っていた妻を倒して、所持していた包丁で胸などを数回突き刺し失血死させた。

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