「『007』と『マーベラス』 予算の桁は違うが原理は同じ」制作秘話をマーティン・キャンベル監督が語る!

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

『ジョン・ウィック』シリーズの製作スタジオと、『007』シリーズなどで知られるマーティン・キャンベル監督による映画『マーベラス』が、2022年7月1日(金)より公開となる。

マギー・Q、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソンという超豪華共演が実現した本作が描くのは、裏社会のプロたちが繰り広げるスリル満点のキリング・アクション。80年代から大小様々な作品を手がけてきたキャンベル監督が、錚々たるキャストへの信頼や知られざる製作エピソードを語ってくれた。

『マーベラス』マーティン・キャンベル監督

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「純粋に“素晴らしい俳優”だからオファーした」

―今回の撮影地にルーマニアを選んだ理由について教えてください。

ルーマニアはとにかく素晴らしい場所ですし、映画制作の税金が優遇されるからですね。それに映画の設備も整っていて、良い働き手もたくさんいます。今回もルーマニア人スタッフを多く雇っていますよ。『宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ』(2012年)というケヴィン・コスナー主演の作品がここで撮影されたはずですが、とても良くできていました。

『マーベラス』ではルーマニアのシーンもあればロンドンやベトナムのシーンもありますが、ベトナムのシーンのほとんどはここルーマニアで撮っています。必要な物は全てルーマニアに揃っていたので。もちろん美術監督が頑張ってベトナムにいるかのように見せてくれているのですが、とにかくいい場所を見つけたと思いましたね。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

―監督が今回のキャストを選んだ理由を教えてください。

僕が彼らを選んだのは、純粋に素晴らしい俳優だからですよ。この作品に合った最高の役者を選んだだけです。『バットマン』(1989年)から『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014年)まで素晴らしい演技をしている名優マイケル・キートン。マギー・Qはベトナム人のハーフで、とにかく格闘技が上手なのが魅力的ですね。そして、サミュエル・L・ジャクソン。彼は今までに140作品ぐらい出ていると思いますが、彼以上の役者はいないだろうと思います。それ以外に、ルーマニア人の役者をルーマニア人役として雇ったりもしましたし、その中には英語が上手な人がいたら英語を話す役として採用もしました。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

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―監督が作品を作る上で大切にしていることを教えてください。

一番重視しているのは、いかに俳優とコミュニケーションをとって彼らの演技を引き出していくか、です。もちろん撮影なのでカメラワークや照明も大事ですが、最も大切にしているのは俳優とのやり取りです。俳優たちといかに協力してキャラクターを引き出すかが大切だと思っています。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

―監督のお気に入りのシーンは?

一番好きなシーンは、レストランでアンナ(マギー・Q)とレンブラント(マイケル・キートン)が食事をしているシーンです。まるで言葉でスパーリングをしているかのようですよね。脚本家のリチャード・ウェンクが素晴らしい台詞を巧みに生み出してくれたので、あのシーンが成り立ったんだと思います。バチバチにやり合ってはいるのですが、セクシーなところもあるので、そういう点でも特に気に入っています。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

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「黒澤は偉大な監督、どの作品も傑作」

―監督は2作の『007』作品(『ゴールデンアイ』[1995年]、『カジノ・ロワイヤル』[2006年])を手掛けていますが、本作でその経験を活かした部分はありますか?

全ての映画にはどこか学ぶところがあって、それを次回作や将来の作品にも生かしていくのですが、『007』に関してはやはり予算が違いましたね。大きな予算でスタントの規模も全く違ったので、予算内でできることは多くありましたが、今回のような、より規模の小さい作品ではできることが限られてきます。ただ、アクションに関しては『007』のような大作でも原理は同じだと思っています。

例えば『マーベラス』のような作品ではアクションシーンを1対1に変えてみたりすることによって、よりリアルなアクションシーンが撮れたりもするので、過去の経験を本作にも活かせました。よりキャラクターに寄り添って、その性格に合わせたアクションを心がけたので、『007』も『マーベラス』も同じような効果が得られていると思います。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

―好きな日本映画を教えてください。

黒澤明監督の『天国と地獄』(1963年)、『七人の侍』(1954年)、『蜘蛛巣城』(1957年)は全て素晴らしいです。『乱』(1985年)もお気に入りの作品ですね。『バーティカル・リミット』(2000年)で来日した時に、黒澤監督の全作のストーリーボードがまとまった本をプレゼントで頂いて、今でも大切にしています。偉大な監督だと思いますし、本当にどの作品も傑作だと思います。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

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―日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

僕自身、本当に撮影して演出することが楽しい作品だったので、ぜひ皆さんに観てもらいたいです。3人の俳優が本当に素晴らしいですし、ストーリーラインも面白い、とてもエンターテイメント性が高い作品だと思っています。自分でも劇場に行って観てみたい作品でもあるので、皆さんもぜひ劇場に足を運んで観てください。

『マーベラス』© 2021 by Makac Productions, Inc.

『マーベラス』は2022年7月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

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