関東大震災、神奈川の鉄路その時 横浜で写真資料展

関東大震災後の応急的な措置として、使える資材を用いて作られた横浜市電の「バラック電車」(横浜都市発展記念館提供)

 来年で発生から100年を迎える関東大震災の鉄道被害に焦点を当てた企画展が、横浜都市発展記念館(横浜市中区)で開かれている。当時撮影された写真を活用し、横浜市電を含めた神奈川県内各地の深刻な被災状況と、その後の復旧の動きを伝えている。

 建物につぶされた横浜市電の車両、脱線し倒れた蒸気機関車、激しい揺れが原因とみられる曲がったレール、震災後に残った資材を用いて作られた市電の「バラック電車」-。企画展では、こうした写真が並び、震災直後の生々しい状況と迅速な復旧を目指す人々の様子を浮かび上がらせている。

 関東大震災は1923(大正12)年9月1日午前11時58分に発生した。県西部を震源とするマグニチュード(M)7.9の巨大地震で、県内の一部が震度7相当の激震に見舞われた。地盤の軟弱な横浜中心部も大きな揺れに襲われたため、市電は保有していた車両約150両のうち約90両を失い、発電所が破壊されるなどして機能を停止した。

 ただ、同館調査研究員の吉田律人さん(41)が「関東大震災で最大の鉄道被害」と指摘するのは、相模湾に面した熱海線(現・JR東海道線)根府川駅の悲劇だ。「地滑りによって駅自体が列車と一緒に相模湾に落ちた。100人以上が犠牲になった」という。

 熱海線と、現在のJR御殿場線に当たる当時の東海道本線は震源に近く、橋やトンネルが崩壊。列車は運行不能になり、東西を結ぶ動脈は寸断された。吉田さんは「紆余(うよ)曲折のあった鉄道150年の歴史の中でも関東大震災が与えた影響は大きい。鉄道が断たれるとはどういうことかを見てほしい」と訴える。震災体験者のスケッチや日記なども公開している。

 7月3日まで。入館料などの問い合わせは、同館☎045(663)2424。

© 株式会社神奈川新聞社