沖縄戦77年、恒久平和への誓い新たに 「慰霊の日」全戦没者追悼式

 沖縄は23日、戦後77年の慰霊の日を迎えた。午前11時50分、糸満市摩文仁の平和祈念公園では、家族を思いながら犠牲になった人々をしのび、恒久平和を願う「沖縄全戦没者追悼式」(県、県議会主催)が始まった。2020年の新型コロナウイルス流行以後、式典は縮小されてきたが、今年は戦争体験者の高齢化に配慮し、340人の参列者が招待された。参列者らは、正午の時報とともに黙とうをささげ、熾烈(しれつ)な戦闘に巻き込まれた住民ら20万人余のみ霊を慰め、世界の恒久平和を誓う。

 県遺族連合会の宮城篤正会長の追悼のことばや玉城デニー知事による平和宣言、沖縄市立山内小学校2年の德元穂菜さんによる平和の詩「こわいをしって、へいわがわかった」が朗読される。玉城知事が読み上げる平和宣言は、初めて一般から意見を募集し、取りまとめられた。

 今年は3年ぶりに首相が招待され、岸田文雄首相をはじめ細田博之衆議院議長、山東昭子参議院議長が出席し、来賓あいさつを行う。同日午前に来県した岸田首相は式典に先立ち、祈念公園内の国立戦没者墓苑、島守の塔で参拝、献花した。

 23日は県内各地で追悼式が行われており、糸満市米須の魂魄の塔では早朝から遺族らが手を合わせた。平和祈念公園では、戦没者の名が刻まれた平和の礎の前に多くの家族連れが訪れ、お年寄りらは刻銘された名前をなでながら記憶の中に生き続ける故人に語りかけ、傍らで手を合わせる子や孫に平和の尊さを伝えていた。平和の礎には、国内外の戦没者、計24万1686人の名が刻まれている。

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