テニスのコーチングが可能に!ウィンブルドン後に試験的に採用

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「全豪オープン」でのチチパス

今シーズンの後半から男子の試合でコーチングが試験的に可能となることを、ATP(男子プロテニス協会)が今月21日に発表した。ATPの公式ウェブサイトなど複数のメディアが報じている。

コーチングのトライアルは、「ウィンブルドン」(イギリス・ロンドン/6月27日~7月10日/グラスコート)が終了した直後の7月11日から導入され、ATPツアーのすべての予選と本戦の試合で許可される予定となっている。「全米オープン」(アメリカ・ニューヨーク/8月29日~9月11日/ハードコート)とシーズンを締めくくる「Nitto ATPファイナルズ」(イタリア・トリノ/11月13日~11月20日/室内ハードコート)もその対象となる。

ATPは声明を通じてこう説明している。「ここ数年の間に、オンコートでのコーチングやヘッドセットを使ったコーチングなど、様々な形でコーチングが試行されてきた。本日の発表により、シーズンの後半ではATPツアーと“全米オープン”、そしてすでにコーチングの試みが実施されているWTA(女子テニス協会)ツアーにおいて整合性を持たせることができる」

この試みは選手とファンのためにテニス全体における一貫性を確保することに加え、興味をそそるポイントを増やし、ファン自身の洞察を生み出すことでファンの観戦体験を向上させることを目的としているという。今回発表されたコーチングの条件は以下の通り。

●コーチは各大会で指定されたコーチ席に座る
●コーチング(口頭および非言語)はプレーや対戦相手の妨げにならない場合にのみ許可される
●口頭でのコーチングは、選手がコートの同じ側でプレーしている時のみ許可される
●非言語によるコーチング(ハンドシグナル)はいつでも許可される
●口頭でのコーチングは短いフレーズのみで行う(選手との会話は不可)
●いかなる理由であれ、選手がコートを離れる際、コーチは選手に話しかけてはならない
●上記コーチング条件の乱用、誤用には罰則が適用される

これまでコーチングが禁止されていた男子の試合では昨年、ステファノス・チチパス(ギリシャ)がコーチでもある父親のアポストロス氏から試合中にコーチングを受けたとして、何度もペナルティと罰金を科せられたり、対戦相手の反感を買ったりしている。当時、チチパスは「コーチングをテニスでも認めるべきだ。試合中のコーチングを認めていない世界的なスポーツは多分テニスだけではないか」と主張しており、以前から議論されてきたコーチング問題が再び注目されることになった。

その影響もあってか、試験的なルールを試す場としても知られる「ネクストジェネレーション・ATPファイナルズ」の昨年の大会では、コートサイドからのコーチングが許可された。同大会に出場したカルロス・アルカラス(スペイン)やブランドン・ナカシマ(アメリカ)、ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)などの選手や彼らのコーチからは前向きなフィードバックが得られている。

今回の決定に対してはさっそく関係者が反応を示している。元世界ランキング4位で現在は米スポーツメディア ESPNのアナリストを務めるブラッド・ギルバート(アメリカ)は歓迎する姿勢を示しており、「やっとだ。かなり待たされた」とTwitterに投稿。その一方で、大会に帯同してくれるコーチを雇えない選手にとっては不利に働くのではないかと心配する声もあがっており、元世界王者のアンディ・ロディック(アメリカ)は「コーチを共有している選手もいるから、互いのスケジュールを調整するのが大変になるだろう」と指摘している。

ATPの発表によれば、今回のトライアルは2022年のシーズンが終了した後で総合的に評価され、来年以降もコーチングを許可し続けるかを判断するとのことだ。

(WOWOWテニスワールド編集部)

※写真は「全豪オープン」でのチチパス
(Photo by Clive Brunskill/Getty Images)