「黄旗や赤旗を出した人の予選タイムは削除するべき」とアルボン。アゼルバイジャンGPでのアロンソを批判

 アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)は、2022年F1第8戦アゼルバイジャンGPの予選Q1でフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)が故意に黄旗を引き起こすことで自らのアタックを妨害したと批判し、黄旗や赤旗の原因となったドライバーの予選タイムを抹消するようにルール変更すべきだと主張した。

 F1アゼルバイジャンGPの予選Q1終了間近、各車が最後のアタックに差し掛かったタイミングでアロンソはターン15のエスケープに飛び出した。

 これにより黄旗が提示されたことで、アロンソの後ろにいたアルボンは自身のタイムを上げられずQ1敗退を喫した。一方、このアクシデントの張本人であるアロンソは、その前に記録していたタイムでQ1突破を果たした。

『GP Fans』によると、この件を受けて「彼(アロンソ)はペナルティを受けるべきだし、そうしなければならない。こんなのは馬鹿げている」と無線で怒りをあらわにしたアルボンは、予選後のメディア取材で「黄旗や赤旗を出した人のラップタイムを削除するようなルール変更があってもいいと思う」と語った。

2022年F1第8戦アゼルバイジャンGP 予選Q1敗退となったアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)

 F1のスポーティングレギュレーション第37条5項には「プラクティス中に不必要にコース上で停止したり、ほかのドライバーを妨害したとスチュワードが判断したドライバーは第37条4項の罰則(ラップタイムの抹消またはグリッド降格)が適用されるものとする」という規定が存在する。つまり、その行為が故意とみなされれば、2006年モナコGP予選でマシンを止めたミハエル・シューマッハー(フェラーリ)のようにペナルティが科せられることになっている。

 一方でアルボンが主張するのは、こうしたスチュワードの判断によらず、黄旗や赤旗を引き起こしたドライバーは一律に予選タイムを抹消されるべきだというものだ。

 F1には他シリーズで見られるような、黄旗や赤旗の原因となった車両のタイムが抹消されるルールが存在せず、2021年モナコGPにおけるシャルル・ルクレール(フェラーリ)のように、赤旗の原因となりつつもポールポジションを獲得した例もある。

 アルボンは、アロンソがこのルールの抜け穴を利用して、故意にコースアウトすることで自らを有利な状況に導いたとして、改めてルールの改善を訴えた。

「最近も話題になったが、ミスをしたドライバーには何のペナルティもない」

「フェルナンドには怒っていない。彼は賢い男だと思うし、うまくシステムを利用している」

 アロンソはこの批判を受け、アクシデントが故意であったことは明確に否定し、「僕たちはラップを走り切るべきだから、この種の問題に対してより良い解決策を見つける必要がある」とアルボンに理解を示すコメントを残している。

2022年F1第8戦アゼルバイジャンGP アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)
2021年F1第5戦モナコGP 予選Q3でクラッシュを喫したシャルル・ルクレール(フェラーリ)
2006年F1第7戦モナコGP 予選Q3でラスカスにマシンを止めたミハエル・シューマッハー(フェラーリ)。スチュワードは予選後に停止は故意と判断し、最後尾からのスタートを命じた

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