【タイ】電子部品の余剰在庫ゼロへ[IT] 商社コアスタッフ、委託販売開始

コアスタッフの戸澤正紀代表取締役(右)とコアスタッフ(タイランド)の河原田勝社長=22日、タイ・バンコク(NNA撮影)

車載向けの半導体やIC(集積回路)、コネクターなどの電子部品不足が世界的に深刻化するなか、タイでもセットメーカーの購買活動が大きな変化を迎えている。半導体商社のコアスタッフ(東京都豊島区)は「タイで半導体や電子部品の余剰在庫の委託販売を始める」とアピール。需給のミスマッチを解消して「余剰在庫ゼロ」を目指す。

タイでは、半導体と電子部品の注文から納品までのリードタイムが長期化している。商社の在庫も枯渇するなか、不足した部品の緊急調達のための専門チームを立ち上げて、自社での在庫保有にかじを切るセットメーカーも増えてきたという。

一方、せっかく調達できた半導体や電子部品であっても、適切な在庫管理ができず、実際には余剰在庫となって活用できていないケースも多い。

そこでコアスタッフ(タイランド)は、首都バンコク東部バンナーのバンコク・インターナショナル・トレード&エキシビション・センター(BITEC)で開催された製造業関連の見本市「NEPCONタイランド2022」に出展。タイに進出した日系の大手企業が抱えている半導体や電子部品の在庫を自社通販サイト「CoreStaff ONLINE」を通じて販売するサービスを始めるとアピールした。エンドユーザーまで把握している商社としての強みを生かす。部品1個からの販売が可能で、国内だけでなく、輸出需要にも対応するという。

すでに日本では実績のあるサービス。タイでも本格化すれば、余剰在庫を処分に悩む企業にとって「捨てる」以外に、「売る」という選択肢が増えることになる。コアスタッフの戸澤正紀代表取締役は「タイの日系企業も強い関心を示している」と手応えを示す。

■倉庫を確保

コアスタッフはまずは、バンコク最大のオフィス集積エリアであるシーロム地区にある現在のオフィスを拡張移転し、その約半分を倉庫として活用する計画だ。倉庫の広さは70平方メートルとなる見通し。

管理を委託した企業には在庫の管理費は発生しない。引き合いの際の在庫の有無や価格、デートコード、梱包(こんぽう)状態の確認もコアスタッフが行う。

販売価格は管理を委託した企業が、購入価格の50~100%の間で決定する。管理を委託した企業で在庫を必要とすれば、コアスタッフ(タイランド)が1~2営業日で必要数量分を返却できるようにする。在庫滅却を希望すれば、コアスタッフ(タイランド)が在庫を一括で買い取る。

今後、管理を委託した製品が売れた場合の会計上の処理の仕方など、さまざまな課題もクリアしていく。在庫管理を委託しない企業に対しても、余剰在庫のリストを基に当該企業に代わって販売も行う考えだ。

同社の試みは、安値で買いたたいた在庫を50~100倍の値段で販売する「在庫投資家」の暗躍を防ぐ効果も期待できる。コアスタッフ(タイランド)の河原田勝社長は、「部品が手に入らないことで製品を出荷できず、資金繰りの悪化する企業が出てきている。部品確保のうまい下手が、企業の将来が左右されるようになってきた」と話す。

■偽造製品を判別

コアスタッフ(タイランド)は年内をめどに、顕微鏡やエックス線装置といった検査機器を使って、半導体や電子製品の真贋(しんがん)を鑑定するサービスも始める計画だ。セットメーカーが半導体や電子部品の調達先を多様化させる中、偽造品をつかまされるリスクが高まっているためだ。例えば、チップとリード端子をワイヤで電気的につなぐ工程であるワイヤボンディングを省略した半導体などがあるという。入手が困難な半導体や電子部品ほど、偽造品が出回る可能性が高くなっている。生産履歴を追跡できないケースも多い。偽造品と知らずに最終製品に組み込めば、誤作動が起きかねない。

現在は、タイの日系企業は調達した半導体や電子部品に偽造品の疑いがあれば、日本の本社に送って真贋を鑑定するのが一般的。タイ現地で鑑定できるようになれば、大幅な時間短縮とコスト削減につながる。河原田社長は「顧客が検査能力を価値として高く評価し始めている」と説明した。

ワイヤのないチップの実例(コアスタッフ提供)

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