今が旬のフルーツ狩りに行こう!

ニューヨークでもさまざまなフルーツが旬を迎えている今日この頃。自然に囲まれながら、甘くておいしいフルーツを思う存分堪能できる楽しいフルーツ狩りに、家族や友人と出掛けてみては? (取材・文/中沢絵里奈)


英語ではピック・ユア・オウン!

季節の味覚を味わうフルーツ狩り

ニューヨーク州近郊では、イチゴ、チェリー、桃、リンゴなど、春から秋にかけて旬を迎えるさまざまなフルーツ狩りが楽しめる。アップステートやロングアイランド、ニュージャージー州、コネティカット州の各地には市内から車で1時間ほどで訪れることができる果樹園が数多くあり、週末に日帰りで行ける屋外アクティビティーとして人気だ。

アメリカでは「ピック・ユア・オウン(PYO)」「U─ピック」と呼ばれるフルーツ狩りは、温室ハウスで収穫するような日本のスタイルとは異なり、屋外でワイルドに育ったフルーツを摘み歩くものが主流。基本は量り売りで、収穫したフルーツの量によって料金を支払うが、カゴいっぱいに摘んでもだいたい10ドル以下ほどと、スーパーで購入するよりも安価で採れたての新鮮なフルーツを堪能できるのが魅力といえる。

四季折々のフルーツを

今はちょうどイチゴが収穫期を終える頃。市内や州外の多くの在住者がフルーツ狩りに訪れるロングアイランド東部の農園「ガーデン・オブ・イブ・オーガニック・ファーム・アンド・マーケット」では、今月末でシーズンオフとなるイチゴ狩りに続き、これから7月にかけてブルーベリーとラズベリー狩りが、8月にはブラックベリー狩りが始まる。

65エーカーにも及ぶ広大な土地で栽培される同園の果物や野菜は、農務省(USDA)に認可された完全オーガニックなので安心だ。共同オーナーを務めるイブ・カプランさんと夫のクリスさんは、合成肥料や農薬の使用、遺伝子組み換え(GMO)を一切せず、創業当初から無農薬にこだわってきたという。

同園でのイチゴ狩りは今週末がラストチャンス!

「農園にはミツバチ、蝶、カエルといった自然の生き物がいます。彼らと共存するためにも農薬や除草剤は使用しません。私たちが栽培するフルーツは、安心なだけでなく濃厚で甘く、とてもおいしいですよ」とイブさんはほほ笑む。

園内では、フルーツ以外にもトマト、キュウリ、ナス、コーン、カボチャといった野菜からラベンダーやコスモスといった花々までの多種多様なPYOや、プレーエリアやキッズ向けプログラムも提供しており、子供が喜ぶファミリーフレンドリーな農園としても評判だ。

マナーやルールを守ろう

週末開催のストロベリーフェスでは、ライブ音楽やイチゴのレモネードを味わえる

改めてフルーツ狩りの基本を尋ねてみると、「舗装されていない農道を歩いたり、農園内には雑草や泥の水たまりもあります。汚れてもいい服装、靴で来てください」とイブさん。畑や他の農作物を荒らさないこと、まだ熟していない果実は摘まないといったマナーを守ることは鉄則。また、以前はその場でもぎたての果実を食べられたが、現在は新型コロナウイルスの感染対策としてその場での味見を禁止している農園も多い。それらのルールも事前に確認してからフルーツ狩りに臨むようにしよう。

秋にかけてさまざまなフルーツが旬を迎える

イブ・カプランさん

ハーバード大学で環境科学の学士号を取得。
環境教育と地元の環境保全計画に携わったのち、2001年に「ガーデン・オブ・イブ・オーガニック・ファーム・アンド・マーケット」を夫のクリスさんと創設。

Garden of Eve Organic Farm & Market
4558 Sound Ave.
Riverhead, NY 11901
TEL: 631-722-8777
gardenofevefarm.com
【開園期間】10月31日まで毎日
【開園時間】午前9時〜午後6時

人気の果樹園をチェック!

ニューヨーク近郊でフルーツ狩りを楽しむならどんな果樹園が ある? 果物の収穫期と合わせておすすめのスポットを紹介する。


「バトルビューオーチャーズ」でイチゴ狩りを体験

マンハッタンから1時間半ほど車を走らせたところにある、ニュージャージー州フリーホールドの農園「バトルビューオーチャーズ」。

1908年創業の同園には、イチゴをはじめ、チェリー、桃、ネクタリン、リンゴなどのピッキングを求めて、州外からも多くの来園客が訪れる。また、農園で採れた新鮮なフルーツや野菜や、収穫されたフルーツを使った焼き立てのパイやパン、アメリカの定番おやつである無濾過のリンゴジュースを煮詰めて作るアップルサイダードーナツなどを販売する直売所も併設し、地元住民の生活を支える果樹園となっている。

甘いイチゴを探せ!

取材時にちょうど旬を迎えていたイチゴ狩りを体験するため、ショップから3分ほどの距離の場所に移動すると、甘いイチゴの香りに包まれた約3エーカーのイチゴ畑が出現。入場時に料金5ドルを支払い、手渡された収穫用のダンボール箱を抱えながら、葉っぱの下に隠れるように実ったイチゴを探していく。シーズン末ともなると、すでに傷んでいる果実も多いので注意が必要だ。採った分は必ず購入し、その場での味見はNGなのがここでのルール。イチゴを摘み取る時は、柔らかい実が潰れないようにヘタの上をしっかり持って優しく引っ張るのがコツだ。

ウェムロック沿いに直営ショップがある

ダンボール箱いっぱいに摘むのにかかった時間はだいたい20〜30分ほど。炎天下でのピッキングにより途中疲労感も感じられたが、真っ赤に熟した実を見つけようと、気付けば大人も熱中してしまう楽しさがあるのがフルーツ狩り。太陽の恵みをいっぱいに浴びて育った採れたてのイチゴは非常に甘く、子供たちが楽しむ姿も印象的だった。

驚くほど甘く、ジューシーな味わいのイチゴ

すでにイチゴ狩りは受け付け終了してしまったが、次はサワーチェリーのシーズンが到来するとのこと。同園のPYOは予約不要のウォークインで入場できるが、その日の営業時間や入場可否の情報はフェイスブックで毎日アップデートされているので前日に確認してから訪れよう。

この量でわずか10.71ドル!

オリジナルブランドのジャムやソース、バターなども販売

【開園期間】オールシーズン
【開園時間】午前9時〜午後6時(PYOは日によって異なる)
【休園日】火曜
【入場料】5ドル ※退園時に返金
【料金】1ポンド(約450g)で4.39ドル ※支払いはキャッシュのみ
91 Wemrock Rd., Freehold, NJ 07728
TEL: 732-462-0756
battlevieworchards.com


車で行けるおすすめ果樹園リスト

チェリー

【期間】6月25&26日、7月2&3日、9&10日

旬が短く、今が絶好のタイミングなのがチェリー狩り。創業100年以上を誇り、独自のオーガニック栽培で知られる「フィッシュキルファームズ」は、オーガニックチェリー狩りを6月下旬から7月上旬の週末限定で開催している。また、今の時期は他にもブルーベリー、ラズベリー狩りも提供。8月下旬からは270エーカーの広大な畑で収穫できるリンゴ狩りなど、一年を通してさまざまなフルーツ狩りが楽しめる。PYOは要予約。

Fishkill Farms
9 Fishkill Farm Rd.
Hopewell Junction, NY 12533
TEL: 845-897-4377
fishkillfarms.com


ブルーベリー

【期間】7月22日〜8月25日

オーガニックブルーベリーに特化した農園「インガルス・ブルーベリー・ヒルズ」のブルーベリー狩りも格別だろう。ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールを豊富に含み、大人はもちろん子供にも食べさせたいスーパーフードであるブルーベリー。木になっている実を収穫し放題で、料金は1ポンド4ドル。ブルーベリー畑の隣には牧草地もあり、羊に餌をやるアクティビティーも体験できる。園内には、無料の駐車場も設置。土曜の午後と日曜は休園となる。

Ingalls Blueberry Hill
136 Seminary Rd.
Milford, NY 13807
TEL: 607-547-2600
ingallsblueberryhill.com


【期間】7月中旬〜9月中旬

ロングアイランドで最も長くPYOを提供している「レーウィンファームズ」では、7月中旬から桃狩りを楽しめる。桃畑は敷地内のファームスタンドから西に0.25マイル進んだところにある。またラズベリー、ブラックベリー、一部のリンゴ狩りの受け付けも始まっているので注目。ペット同伴禁止で、支払いは現金のみ。基本は午前9時から午後4時30分までの営業だが、天候や作物の状態にも左右されるため訪園前に電話で確認することを推奨する。

Lewin Farms
812 2nd Ave.
Calverton, NY 11933
TEL: 631-929-4327
lewinfarm.com

あのフルーツ狩りに行くならここへ!

ブドウ

【期間】8月中旬〜10月下旬

ハドソンバレーにある「ローレンス・ファームズ・オーチャーズ」は、150エーカーの土地で20種以上を育てるリンゴ畑としても有名だが、ニューヨークでは希少なブドウ狩りも楽しめる。8月中旬はテーブルグレープ、9月上旬はコンコード、ナイアガラの3種が季節ごとに収穫できる。入場料は1人7〜10ドルで、2歳未満の子供は無料。敷地内ではアップルサイダードーナツやミルクシェーク、ホットドッグ、ピザなどが楽しめるフードスタンドも人気だ。

Lawrence Farms Orchards
306 Frozen Ridge Rd.
Newburgh, NY 12550
TEL: 845-562-4268
lawrencefarmsorchards.org


アジアンペアー(梨)

【期間】8月下旬〜9月下旬

コネティカット州にある、創業1741年と米国で12番目に古い「ライマンオーチャーズ」は、「コネティカットマガジン」のベストPYOファームにも選定された歴史ある農園。リンゴと桃が有名だが、日本人にうれしいアジアンペアーも収穫できる。ピッキングではずっしりと硬く甘い香りがする梨を選ぶのがコツ。料金は6ポンド(約8〜10個)で13ドル。支払いは入場前にコンテナ(3サイズ)を購入するスタイルだ。園内での味見はNGなので注意しよう。

Lyman Orchards
105 S. St.
Middlefield, CT 06455
TEL: 860-349-6015
lymanorchards.com


リンゴ

【期間】9月上旬〜10月下旬

別名「ビッグアップル」とも呼ばれるニューヨークだけに、リンゴ狩りは最も人気のあるPYOの一つだ。市内から約50マイルほど北上したワーウィックにある「アップル・リッジ・オーチャーズ」では、9月上旬からガラ、マッキントッシュ、中旬からエンパイア、下旬からジョナゴールド、10月中旬からフジ、むつなど多種多様なリンゴが収穫できる。入場料は1人3ドル。ファームスタンドで販売する自家製アップルサイダードーナツも味わっておきたい。

Apple Ridge Orchards
101 Jessup Rd.
Warwick, NY 10990
TEL: 845-987-7717S
appleridgeorchards.com


ニューヨークで食べられる

日本のイチゴって?

郊外へのフルーツ狩りに行けなくても、ニューヨーク市内で手に入る新鮮でおいしい日本のイチゴがある。その名も「おまかせベリー」は、日本品種の高級イチゴをアメリカに広めることを目的とするスタートアップ「オイシイファーム(Oishii Farm)」が生産・販売する画期的なイチゴだ。

1パック50ドルという超高額にもかかわらず、ニューヨークの星付きレストランのトップシェフがこぞって注文したことでも話題となり、6月1日からはノマド地区にオープンしたホールフーズ(63 Madison Ave.)で初の実店舗販売もスタートしている。

6月1日にオープンしたホールフーズのノマド店

日本の農業技術をベースにテクノロジーを駆使することで、難易度が高いとされる植物工場でのイチゴの生産を実現した同社は、5月にニュージャージー州ジャージーシティーに7万4000平方フィートにも及ぶ世界最大のイチゴの植物工場も開設。都会での栽培に適した垂直農法を採用したこの工場で、農薬を使用せずに、LEDによる光量や気温、湿度、二酸化炭素量を徹底的に管理し、完璧な栽培環境と環境への配慮を両立しながらもさらなる大量生産が可能になったとか。

販売ブースに集まるニューヨーカーたち

アメリカのイチゴの平均糖度が7〜8度であるのに対し、糖度が14〜15度にものぼるという「おまかせベリー」は、ホールフーズノマド店では従来から値下げした1パック19・99ドルで販売。毎日午後6時には完売になるというから早めの時間に来店して手に入れたい。柔らかくふわっとした食感で上品な甘さが楽しめ、店頭以外にオンラインショップ(oishii.com)からも購入できる。


「おまかせベリー」を使ったカクテルレシピ

ストロベリー・バニラ・ミモザ

Photo by Oishii Farm
Recipes by Camille Wilson

【材料】
おまかせベリー………… 1パック
シロップ……… 0.5オンス
バニラエッセンス……… 小さじ1杯
冷えたシャンパン……….. お好みの量

【作り方】
①シロップとイチゴをグラスに入れ、すりつぶしながら混ぜる。
②バニラエッセンスを加える。
③シャンパンを注ぐ。
④よくかき混ぜて完成!


バレージュレップ

Photo by Oishii Farm
Recipes by Shannon Mustipher

【材料】
お好みのブランデー………… 2オンス
ハニーシロップ……… 0.5オンス
レモンジュース……… 0.75オンス
おまかせベリー………. 2〜3パック
ミント…………………… 適量

【作り方】
①半分にカットしたイチゴをシェーカーの中で優しくすりつぶす。
②レモンジュースとブランデーを加え、氷と一緒にシェークする。
③冷やしたグラスにクラッシュドアイスをいっぱい入れ、2を注ぐ。
④ミントの葉とイチゴのスライスを2枚のせて完成!


グリーンマーケットにも行こう

近所のグリーンマーケットでも、農地直送の新鮮なフルーツが手に入る!

Union Square Greenmarket

14丁目のユニオンスクエアの広場で毎週月・水・金・土曜に開催され、毎回多くのニューヨーカーで賑わう。地元や近隣州の農家が食材や植物をここで販売しているので、オーガニックのものも多く、新鮮なフルーツが手に入れられる。

Broadway to Park Aves. & E. 14th to 17th Sts.
grownyc.org


Riverview Farmers Market

11月20日までの毎週日曜、ジャージーシティーで開催中。リンゴ狩りで有名な「アルステーデファームズ」、「ストーニー・ヒル・ファームズ」「RHファームズ」などの果樹園をはじめ、地元のベーカリーやジャムショップ、惣菜ショップなどがベンダーを出店。地元住民からも人気のグリーンマーケットだ。

498 Palisade Ave., Jersey City, NJ 07307
riverviewfarmersmarket.org

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