「心通じた」「つながりもっと」 被爆者や高校生が帰国会見 核廃絶へ決意新た

オーストリア・ウィーンから帰国し、現地での活動や思いを報告した(左から)川副さん、神浦さん、崎山さん=長崎市役所

 核兵器禁止条約第1回締約国会議の開催地オーストリア・ウィーンから帰国した長崎県内の被爆者と被爆2世、高校生が23日、現地での活動を長崎市内で報告した。「参加者と心が通じた」「世界とのつながりをもっと深めたい」-。貴重な経験を生かし、被爆地長崎でさらなる核廃絶運動に取り組む決意を新たにした。
 会見したのは、県平和運動センター被爆者連絡協議会副議長の川副忠子さん(78)、全国被爆二世団体連絡協議会会長の崎山昇さん(63)、高校生平和大使の神浦はるさん(17)。
 川副さんは19日、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)主催のイベントで、1歳半の時に長崎で被爆した体験を語った。核実験の被害を受けた島国フィジーの青年らと意見交換し、「気持ちが通じ合えた。(乳児期の被爆で)記憶のない自分も、親に聞いた話を次世代に伝える役目がある」と実感したという。
 過去20年ほど高校生平和大使の活動も支援してきた川副さん。ウィーンで元大使の中村涼香さん(22)が活動する姿も見守り、「長崎出身の若者が運動を継承してくれて感激。国や世代を超えて語り合う若者たちを見て、先があると思った」と期待を語った。
 神浦さんも「大学生の先輩が大きな場で活躍していて憧れた」と刺激を受けた様子。現地ではドイツや中東のグループと交流し「核廃絶の目的は同じでも、環境問題や人権問題から核兵器を考えるなど、たくさんの見方があると知った。世界のグループとつながったので、さらに深めたい」と今後を見据える。
 崎山さんは2世ら将来世代を含め、核実験やウラン採掘などの核被害者支援を現地で訴え「私たちが置かれている状況を少しでも理解してもらえた。核被害者の援助の問題に若い人が目を向けるきっかけになれば」と語った。


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